ブランドはウェブでなく人がつくるもの
A社のように、建築家にモデルの設計を依頼し、庭・外構まできちんと整え、家具も一流ブランドで揃え、ホームページをセンスよく設えれば、それなりにいいお客様を呼び込むことは可能です。
が、やはりその良さに惚れ込みその価値を伝えられる方が最前線に立たない限り、成約には至りません。「こんな高い家が売れるはずがない」「こんな田舎にそんなお金持ちはいない」といった考えを持っていたり、「これはモデルハウスなので最上級の仕様ですが、グレードを落とせばもっと安くできますよ」のようなセールストークを展開する営業マンがいたら、いいものを買おうとしている層のこころを掴むことができないからです。
どのエリアにも学校の先生や公務員、団体職員は存在します。超富裕層の絶対数は東京には叶わないとしても、こうした安定高収入層はどの地域でもそれなりにいるものです。地方から東京に出てベンチャーで成功して帰ってくる若い方も増えてきました。そんな層に出逢っていないのは、これまでそういう層の方がレスポンスするブランディングができていなかっただけです。
棟数を追わないと会社が維持できない規模の工務店は別として、10棟前後の工務店であれば、ブランディングをモノ・コト・ヒトで整えれば、地方でも十分に安定高収入〜準富裕層くらいは狙えるはずです。
実は高価格帯のほうが競争が激しい
ただし、そのゾーン(価格帯)に主戦場を移しても、闘う相手が変わるだけでお客さんが黙って見積もり通りの金額を払ってくれるわけではありません。高価格帯で競合となるハウスメーカーは、営業マンや営業所のノルマもありますから死に物狂いで仕事を取りにきます。
最近、ある工務店が1億5000万円の見積もりを出した物件に、当初2億円で見積もりしていたハウスメーカーが5000万円近い値引きで対抗してきたという話を耳にしましたが、そのくらい彼らも困っているわけです。となると、やはりきちんと自社の想いをウェブやSNS、そしてスタッフの言動で伝え「ここで建てたい!」と思ってもらえるようブランディングをしていかないと、いくらフィールドを変えたとしても、受注に苦戦することになるでしょう。
これまでコスパや性能だけで勝負してきた地域工務店にとっては、どのゾーンの家をやるにしても厳しい時代になってきたのは間違いないことと思います。
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