研究者でメディアアーティストとしても活躍する落合陽一さんが代表を務めるピクシーダストテクノロジーズ(東京都千代田区)はこのほど、音響メタマテリアル技術を活用した遮音材を開発した。高い遮音性能と通気性を有する同遮音材は、空調・建材などの素材としてだけでなく、工事中の騒音対策にも応用できる。
同社が開発した遮音材は、入射した音波とは180度異なる位相(逆位相)に散乱させる構造を持った人工物質「メタマテリアル」を用いることで、特定の音を打ち消すことができるもの。素材そのものではなく、構造や形状で遮音性能を発揮するため、開口部があっても高い遮音性能を実現。開口率50%の場合に、30dB低減できることを確認している。
例えば空調設備に使用した場合、換気時に発生する音を低減するとともに自然換気も可能。消費電力の削減にもつながる。
構成する材料は自由に選択できる。例えば、間伐材や再生材などを使って遮音材を作ることも可能だ。低周波から高周波まで幅広く、特定の周波数帯の遮音ができるため、適用シーンに応じて不快な音だけを取り除いたり、騒音と感じる音だけを小さくしたりすることも可能となっている。
同社では2021年から音響メタマテリアル吸音材「iwasemi(イワセミ)」を販売。空調機器、建設作業、交通インフラ、家庭生活などから生じる騒音への対策に応える製品として提供する中で、換気や排熱のために開口部が必要であったり、風圧の問題で防音壁が設置できなかったりするケースに直面した。そこで遮音と通気の両立が可能な技術として、音響メタマテリアル遮音材を開発したという。
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