東急建設、BIMモデル活用し建物運用段階の環境価値向上へ

東急建設（東京都渋谷区）は、建物運用段階における環境価値や生産性の向上に貢献する「Building OS」を開発し、同社技術研究所の管理研究棟で実証を行った。

同システムは、建物OSと呼ばれる技術の一つ。建物OSは、建物全体を統合的に管理するデジタルプラットフォームのことで、空調や照明などの設備を一元管理できる。

今回開発したシステムでは、従来は設計・施工段階での活用に留まっていたBIMモデルとセンシングデータを連携させるため、業界共通の建物要素仕様規格であるIFC（建物を構成する全てのオブジェクトの3次元の形状情報と属性情報を保有し、BIMソフトウェア間におけるデータの共有化を容易にする中立でオープンなデータモデルのファイル形式。ISOで標準化されている国際規格）を採用し、詳細の定義設定について大阪大学と共同研究した。また、建物ごとに異なる通信プロトコルに対応するため、多様なセンシングデータとの連携を可能にするAPIを公開する予定。

実証実験では、既設のBAS（建物管理システム）とBACnet（通信プロトコル）を介してデータ連携を行い、ウェブブラウザ上でのデジタルプラットフォーム構築を実現。それにより、3次元で直感的に屋内各所の温度・湿度やCO₂濃度などの分布が視認できることを確認した。また、同システムを活用し、空間の快適性をPMV（温度、湿度、気流、輻射、着衣量、活動量の6要素によりどのように快適さを感じるかを表した温冷感指標）で評価し、自動制御するサービスを試作した。

「Building OS」の基盤技術概要（左）と技術研究所での実証の様子