2023年度の「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」が検討され、4月25日に閣議決定された。同方針は、官公需における中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に向けて毎年作成しているもので、今回はインボイス制度導入に伴う対応や中小建設業者に対する配慮などについて盛り込まれた。2023年度の中小事業者向け契約は、比率では昨年度同様の61%、金額では3860億円増の5兆6598億円を目標としている。
新たな措置としては、少額契約での公示・見積書の提出に際し、電子調達システム、ホームページ、電子メールなどの活用を可能とした。また10月から開始するインボイス制度に関わる項目では、国などが行う競争入札で適格請求書発行事業者ではないことを理由として、入札への参加拒否することがないようにと定めた。
中小企業・小規模事業者が入札情報を入手しやすくするため、▽官公需情報ポータルサイトの適切な運用▽中小企業基盤整備機構による情報提供▽中小企業団体中央会への「官公需総合相談センター」の設置―などを実施。受注しやすい工夫として、▽分離・分割発注の推進▽適正な納期・工期、納入条件の設定▽同一資格等級区分内での競争の確保―などを行う。
優良事業者は上位入札にも参加可能
さらに中小建設業者に対する配慮として、受注者が長時間労働をせずに済むよう、国庫債務負担行為の活用や中小工事の早期発注などにより、施工時期の平準化を図るよう指示。優良な工事成績を上げた事業者は施工能力を勘案し、上位等級の工事に係る競争にも参加できるようにする。
工事には地域の建設業者、専門工事業者を積極的に活用。効率的な施工が期待できる工事については可能な限り、分離・分割して発注を行うよう努める。また、外注時の適正な人件費を確保するために、あらかじめ書面により作業内容・人件費単価・期間などを明確にすることを発注者に求める。
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