三菱地所(東京都千代田区)は、AIテクノロジーを活用した、より付加価値の高い次世代型施設運営モデルを本格展開する。労働人口の減少・新型コロナウイルス・働き方改革・ダイバーシティなどの様々な社会課題や顧客ニーズへの対応を目指す。
展開する次世代型施設運営モデルは、従来に比べ、AI・ロボット・IoTなどでより人や企業、モノやサービスがつながり、様々な知識や情報を共有、今までにない新たな価値を生み出す「Society5.0」の未来社会像により近づいた取り組みとなる。
具体的な内容としては、同社本社にて、2種類の配送ロボットがオフィスワーカーのモバイルオーダーに応じ、ビル内のカフェやサラダ店の商品を複数フロアの執務室内100か所以上に完全無人で配送するサービスを2月に開始。オフィスワーカーは、仕事の手を止めることなく自席から商品を注文・決済・受け取りを完結することができる。同社グループでは、オフィスや住宅、商業、ホテル、空港、物流などの施設において、すでに100台超のロボットが警備・清掃・運搬などで稼働しているが、経済産業省の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」にも参画し、エレベーターやセキュリティドアなどの建物設備とロボットとの通信連携を進めたことで、同サービスの実現に至った。
また、常盤橋タワーの設備(空調機、冷温水ポンプ)にIoTセンサーやカメラを設置し、巡回・立哨警備を行う自律移動型ロボットが警備巡回時にセンサーデータを自動収集して設備を点検するシステムをこのほど構築。得られたデータは、ダイキン工業が開発した「新点検支援システム」のクラウドに集約し、機器メンテナンス会社やデータアナリストが遠隔で確認・分析することで、さらなる業務効率化、整備・備品交換費用の低減、設備機器のロングライフ化など、より高度な設備点検を実現する。なお同取り組みは、デジタル臨時行政調査会がまとめた「デジタル原則に照らした規制(通称:アナログ規制)の一括見直しプラン」にも寄与するものとなる。
1月には、丸ビル・新丸ビルにおいて、警備会社、AI画像解析ベンダーと協業し、新たな警備体制を構築。多種多様なAI画像解析サービス(丸の内エリアにおいて延べ350台超導入済)により、監視員が「見守り対象者検知」「異常検知」「転倒検知」「喧嘩・暴力検知」「滞留検知」などのAI検知状況をリアルタイムに把握できるようにした。警備員の早期派遣・対応により、効率的かつ高度な警備および深刻な警備員不足といった社会課題の解決を目指す。あわせて、丸の内エリア店舗などの混雑状況・歩行者交通量・来街者属性などをAI画像解析で数値化し、それらのデータと売上データ・天候・周辺イベントなどを複合的に分析することで、より効果的かつ魅力的な店舗運営や販売促進活動を実現する。
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