京都市は市営住宅の空き住戸をリノベーションして、若者・子育て向け住宅に活用する取り組みを5月から開始する。空き住戸を不動産会社などの民間事業者に貸し付け、若者が好むレイアウトにリノベーションした上で、賃貸住宅として手頃な価格で貸し出す。4月12日の市長定例記者会見で明らかにしたもの。5月中に民間事業者の募集を開始し、6月にはパートナーとなる事業者を決定する考え。初回の2023年度は70戸程度を供給し、今後数百戸規模にまで拡大する方針。
5月から秋頃に掛けて実施する「第1弾」では、交通至便でスーパーマーケットなどの商業施設が充実している南烏丸市営住宅(南区)、西京極市営住宅(右京区)、山科市営住宅(山科区)、洛西・向島ニュータウンで募集を開始。住宅供給公社にも協力を求め、二条市営住宅を若者・子育て世代向けの公社賃貸として貸し出す。「第2弾」は2024年度に新生活向けの住宅として供給する。
「カルテ」活用で路地奥の空き家も賃貸に
空き家となっている「路地奥」の木造住宅も、改修・建替えをした上で若者・子育て世代に提供する。京都の「路地奥」は、▽地域コミュニティによる子供の見守りがある▽交通量が少なく子供が安心して遊べる▽住宅価格が比較的手頃―と子育てに向いた環境がある一方で、許認可が煩雑でローンが組みにくいといった問題がある。
それを解決するため、市では「路地カルテ」を活用した許認可を5月から試行。「路地カルテ」にあらかじめ路地・敷地の状況、建築基準法の許認可手続きに必要な図面や資料をまとめて記載しておくことで、許認可が可能なエリアかどうか事前に確認できるようにする。さらに金融機関・不動産事業者と連携してローン審査を進めやすくする。建替え時の負担軽減を図るため、これまで更地に限定していた除却費の支援を建替え時にも適用する。
空き家対策に係る費用については、3月に総務大臣の同意を得た「非居住住宅利活用促進税」(通称:空き家税)も活用する考え。門川大作市長は「民間事業者の力が最大限に生かせるよう、公募条件の詳細を検討しているところだ。民間ならではのノウハウやアイデアに期待している」と話している。
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