帝国データバンク(東京都港区)は4月18日、電気料金の値上げの影響などを調査した「電気料金値上げに関する企業の実態アンケート」の結果を発表した。同調査は2022年12月に続き2回目。有効回答企業数は1097社。電気料金の増加分を、販売価格やサービス料金に「全く価格転嫁できていない」企業は57.2%、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は42.8%だった。販売価格等への価格転嫁率は「2割未満」(20.7%)が最も多く、全体の転嫁率は14.9%にとどまる。前回調査と比較すると、電気料金の増加分を「多少なりとも価格転嫁できている」企業は13.2ポイント増加、価格転嫁率も5ポイント上昇した。企業からは「原材料価格上昇分の転嫁が精一杯で、電気料金までは厳しい」などの声が聞かれた。特に競合他社が多い取引関係では、転嫁が難しい状況となっている。
電気料金の総額の変化を1年前と比較すると、「【増加】20~40%未満」が33.1%と最も多く、次いで「【増加】40~60%未満」(21.1%)、「【増加】20%未満」(20.0%)と続いた。1年前から電気料金が「増加」した企業は93.6%で、「変わらない」は3.3%、「減少」は1.0%だった。電気料金の総額は前年比平均39.4%増となり、約1.4倍に増加している。企業からは「新電力会社の更新時の価格が2.5倍になるため、別の新電力会社と契約したが、年間400~500万円のコストアップ」や「新電力会社から大手電力会社に変更したが、料金は前期の2倍以上」など、大手・新電力会社ともに電気料金が大幅に上昇しているとの声が寄せられた。一方、LED化やエアコンの入れ替えにより使用量を抑え、電気料金がほぼ変わらないケースもみられた。前回調査と比較すると、電気料金が前年から「増加」した企業の割合は7.0ポイント増。総額が20%以上増加した企業が多く、料金変化率の平均は10.7ポイント上昇した。
同社は、電気料金の値上げ継続により企業の負担が増すなか、価格転嫁が徐々に進んでいるものの、値上げペースに追い付いていないと指摘。政府は1月から9月使用分までの電気料金の値引きを決定したほか、「特別高圧」の契約を結ぶ中小企業への支援を行う見通しだが、今後価格転嫁が十分に進まなければ、事業継続が難しくなる企業が増えると予測している。
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