帝国データバンクは4月19日、2023年度の業績見通しに関する企業の意識調査の結果を公表した。増収および増益を見込む企業はいずれも前年よりも割合が高まった。業界別では、人流の回復がプラス材料となっているサービス業が最も増収増益を見込んだ。その一方で、建設業は減収減益を見込む割合がほかの業界と比べ最も高くなった。また、売り上げ拡大が続く一方で、コストアップなどから利益面は伸び悩む企業も多く、増益と減益の二極化傾向が進んでいることが浮き彫りになった。
「増収増益」と回答した企業は26.4%となり、新型コロナのまん延防止等重点措置がすべて解除された前回調査(2022年3月)の2022年度見通しから2.3ポイント増加した。「減収減益」は同3.6ポイント減の20.3%と3年連続で減少した。
業績見通しを業種別にみると、「増収増益」を見込む業種は『サービス』(32.8%)が最も高く、『運輸・倉庫』(29.8%)が続いた。特に『サービス』は、全国旅行支援などで観光需要の高まりが期待される「旅館・ホテル」が51.9%と51業種のトップだったほか、「飲食店」(44.8%)が2番目となった。
「減収減益」では、『建設』(26.1%)が最も高く、『農・林・水産』(23.8%)が続いた。『建設』の収益悪化見通しなどもあり、鉄スクラップ価格が前年より低下してきた「再生資源卸売」が43.3%と51業種で最も高くなった。
2023年度の業績見通しを上振れさせる材料を尋ねたところ、「個人消費の回復」が38.8%と3年ぶりにトップとなった。2年連続で最も高かった新型コロナなどの「感染症の収束」は 28.0%で2番目となったが、前回調査(2022 年3月)より12.2ポイントも減少した。以下、「原油・素材価格の動向」(27.7%)、「所得の増加(19.9%)、「公共事業の増加」(18.8%)が続いた。
2023年度の業績見通しを下振れさせる材料では「原油・素材価格の動向」(45.2%)が2年連続でトップとなった。次いで、「人手不足の深刻化」(33.9%)、「個人消費の一段の低迷」(30.5%)や「物価上昇(インフレ)の進行」(30.0%)が3割台で続いた。特に「人手不足の深刻化」は前回調査より10.2ポイント増、「物価上昇(インフレ)の進行」は6.2ポイント増加した。他方、新型コロナを含む「感染症の拡大」(19.5%)は昨年より 24.1ポイント減少し、選択肢に加えた2020年度以降で最も低い割合となった。
調査期間は2023年3月17日~3月31日。調査対象は全国2万7628社で、有効回答企業数は1万1428 社(回答率 41.4%)。
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