環境省と気象庁は4月26日から、2023年の「熱中症警戒アラート」の運用を開始する。「熱中症警戒アラート」は、熱中症の危険性が極めて高い状況が予測される場合に発令。暑さへの「気づき」を呼び掛け、国民に予防行動を取ってもらうことを目的としている。暑さ指数(WBGT)は、「赤:危険」(31以上)、「橙:厳重警戒」(28~31)、「黄:警戒」(25~28)、「水色:注意」(21~25)、「青:ほぼ安全」(21未満)の5段階に分かれ、暑さ指数算出地点のいずれかで日中の最高暑さ指数が33以上になると予測した場合に発表される。
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発表のタイミングは、前日の17時および当日の朝5時。期間は4月26日17時から10月25日朝5時まで。環境省では「熱中症予防情報サイト」「LINE公式アカウント」「個人向けメール配信サービス」で通知を行う。同省によると、2022年は4月27日から10月26日までの期間中、46地域で889回アラートが発令された。2021年よりも276回増えたという。
予防行動として、▽身の回りの暑さ指数を確認して行動すること▽のどが渇く前に水分補給すること(目安:1日あたり1.2リットル)▽屋外で2メートル以上の人との距離を確保できる場合は適宜マスクを外すこと―などを呼び掛けている。
22年度、建設業での死傷者は175人
厚生労働省が公表した2022年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況(2023年1月13日速報値)」によると、2022年の死傷者数は805人で、前年より244人増加。死者は28人に上った。月別では7月(283人)、8月(273人)が突出している。最も多い時間帯は14時から15時台。年齢は45~49歳(101人)と、60~64歳(125人)が多かった。業種別では建設業が最も多く172人(死者13人)で、全体の約2割を占めている。
2022年度に建設業では次のような事案があった。
■家屋建築工事業(60歳代):壁面の左官作業を行っていたところ、昼休憩後に行方不明となり、離れた場所で倒れているところを発見された。
■道路建設工事業(40歳代):セメント袋の整理作業中に倒れ込み、緊急搬送された。
■建築設備工事業(20歳代):住宅の外壁塗装工事現場での足場運搬作業後、次の現場への移動途中で意識を失った。
■その他工事業(60歳代):住宅の外構工事でコンクリート打設作業終了をし、片付けをしていたところ具合が悪くなり、休むよう指示された。その後、意識を失い緊急搬送された。
■家屋建築工事業(40歳代):新築工事現場でIHヒーターの取付工事を行っていたところ体調を崩し、休憩したが間もなく意識を失った。
■その他工事業(20歳代):太陽光パネル設置工事で太陽光パネルの取付け作業を行っていたが、体調不良を訴えて自家用車で休んだ。その後、錯乱状態となり容体がさらに悪化した。
熱中症では、第1段階ではめまい・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・気分の不快感、第2段階では頭痛・不快感・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、第3段階では意識障害・けいれん・手足の運動障害・高体温などが症状として表れる。疑われる症状が見られた場合には、直ちに涼しい場所に避難させるか救急車を呼ぶなど、早い段階での対応が必要となる。
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