大手電力会社が送配電子会社を通じて新電力の顧客情報を不正に閲覧・活用していた問題で、経済産業省は4月17日、関西電力など5社に業務改善命令を発出。東北電力など6社に業務改善勧告を行った。経産省は今回の命令や勧告で、電力会社と送配電子会社との託送情報に係る情報システムの共用状態を約3年以内に解消することや、内部統制の抜本的な強化などを求めた。
この問題は昨年12月、関西電力について問題が発覚した。関西電力子会社の関西電力送配電が管理していた新電力の顧客情報を、関西電力の社員と委託先社員の1000人余りが閲覧し、そのうち2割以上が営業活動に活用していた。
業務改善命令を受けたのは、関西電力、関西電力送配電、九州電力、九州電力送配電、中国電力ネットワークの5社。
このうち、九州電力送配電は、新電力顧客情報が閲覧可能な状態を認識しながら、九州電力で使用可能な状態にし、九州電力の営業現場で組織的に活用していた。また、中国電力ネットワークは、非公開情報を取り扱うシステムを故意に中国電力で閲覧可能にしていたほか、調査に関する初動対応が迅速性など不適切だったという。
一方、業務改善勧告を受けたのは、東北電力ネットワーク、東北電力、中部電力パワーグリッド、中部電力ミライズ、中国電力、四国電力の6社。
東北電力ネットワークは、ネットワーク設定端末を東北電力従業員が立入可能な場所に設置したことなどで、新電力顧客情報が不正に閲覧されていた。中部電力パワーグリッドは託送業務システムのアクセス制限・マスキング処理の不備によって中部電力ミライズ従業員が新電力顧客情報を閲覧していた。
中国電力は中国電力ネットワークとの共用の営業システム等のマスキング処置の不備から、従業員が新電力顧客情報を閲覧していた。四国電力は四国電力送配電から災害等非常時の対応業務を受託していたが、非常時対応以外の目的で新電力顧客情報を閲覧していた。
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