4月15日・16日に北海道札幌市で開かれた「G7気候・エネルギー・環境大臣会合」の成果内容が公表された。2050年までにエネルギーシステムにおけるネットゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)を達成するために争点となっていた石炭・天然ガスなどの化石燃料については、段階的に廃止することで合意。各国のエネルギー事情、産業・社会構造、地理的条件に応じた多様な道筋のもとで、共通目標に向かうこととなった。
今回の会合では気候変動、生物多様性の損失・汚染による世界的な危機、エネルギー危機に関する懸念を共通認識として、ネットゼロ、循環経済、グリーントランスフォーメーション(GX)の重要性などについて話し合われた。
このうちネットゼロに関わる取り組みでは、「パリ協定」の目標である産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑えるため、G7がリーダーシップを取ることで同意。温室効果ガスを2030年までに43%、 2035年までに60%の削減が必要であることを確認した。
具体的な手段として、「省エネルギー・ファーストの原則」により、電化や燃料転換、デジタル化などを加速させる。再生可能エネルギーでは、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力などの次世代技術の開発・実装、事業環境整備を推進。さらに電力部門での脱炭素化に有効な水素・アンモニアの使用を今後検討する。
産業の脱炭素化については、ライフサイクルベースで脱炭素化を評価することの重要性について話し合われた。建築物においてもライフサイクル全体での脱炭素化(LCCM)を図ることを目標とし、エネルギー源を化石燃料からヒートポンプなどのクリーンエネルギーへ転換すべきとの意見が強調された。
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