東京商工リサーチ(東京都千代田区)は、10月1日に運用が開始されるインボイスの登録件数が、3月末時点で累計268万件に達したと発表した。法人と比べて登録が進んでいなかった個人事業主だが、3月の登録数は法人の2倍超となる18万1032件で、累計85万6060件に達した。経過措置の効果や取引先からの要請、業務委託契約者の登録が影響したとみられる。登録率は、法人が97.1%、個人事業主が43.2%。
3月末時点の法人登録数は182万4807件。単月の登録数は、2022年11月の21万713件をピークに4カ月連続で前月を下回り、3月は8万2035件だった。個人事業主の登録数は85万6060件と急増したが、依然として法人よりも登録率が低い。個人事業主は、課税売上高1000万円以下の免税事業者が多く、業務委託契約者なども含めると免税事業者数は法人数を大きく上回る。免税事業者から課税事業者への移行は、推計で約150万件が見込まれ、登録件数を押し上げているとみられる。2020年度時点の課税事業者(売上高1000万円超え)との比較では、登録率は法人(約205万件)89.0%、個人事業主(約110万件)77.8%、全体で85.2%となる。
企業を中心とした支払側は、免税事業者との取引継続によっていずれ税負担が増えるほか、免税・課税と区分した請求書管理などコスト負担も重くなる。負担増を把握し、免税事業者との取引中止を決定した企業が増えた場合、取引継続のために個人事業主の登録がさらに増加する可能性があるとしている。
総務省「平成28年経済センサス」に基づき、都道府県別にみると、登録数のトップは東京都の34万5480件。大阪府15万4446件、神奈川県10万8611件、愛知県10万7453件と続き、4都府県で10万件を上回った。最少は鳥取県の6767件で、島根県8262件、高知県8461件、佐賀県8739件と、4県で1万件を下回った。
2016年時点の法人数を基にした登録率は、東京都127.1%、大阪府110.5%、千葉県101.0%、福岡県100.8%、沖縄県99.6%の順だった。最も低かったのは、島根県の73.7%で、秋田県76.3%、山形県76.5%、新潟県78.2%、山口県78.6%、長崎県78.8%、鳥取県79.1%、佐賀県79.5%と、地方都市8県が80%を下回った。国外に本社を構える企業の登録数は1324件だった。
同調査は、国税庁の適格請求書発行事業者サイトの公表データをもとに同社が分析したもの。当初3月末だった申請期限は9月末まで延長された。
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