国土交通省は4月14日、「第18回国土審議会計画部会」を開き、新たな国土の将来ビジョンについてまとめた「国土形成計画(全国計画)」および国土利用に関する基本構想となる「第6次国土利用計画(全国計画)」の素案を示した。
同計画では、今後10年間で目指す国土の姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」「シームレスな拠点連結型国土」を掲げている。「地方の豊かさ」と「都市の利便性」を融合させることで、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指す。
国土構造の基本構想となる「シームレスな拠点連結型国土」では、東京への一極集中を是正。企業の本社機能の地方移転を促し、地方創生テレワークや副業・兼業といった転職を伴わない移住を推進する。
人々の生活拠点となる生活圏を、▽中枢中核都市を核とした「広域圏」▽地方都市を核とした「地域生活圏」▽小さな拠点を核とした「集落生活圏」―の重層的な構造に分け、それらをリアルに結ぶ「回廊」(イメージによる仮称)を形成。併せて、デジタルを面的に活用する「デジタルライフライン」(経産省「デジタル田園都市国家構想実現会議」で本年度中に計画策定)を形成し、デジタルによる恩恵を「広域圏」から「地域生活圏」「集落生活圏」にまで行き渡らせる。
具体的には、リニア中央新幹線、新東名・新名神高速道路により三大都市圏を結ぶ「日本中央回廊」(仮称)、日本海側と太平洋側など地域と地域がつながる「全国的な回廊ネットワーク」を整備。「デジタルライフライン」では、物流の自動化などを普及させるためのドローン航路、自動運転専用道などを整備し、地域生活圏の先行地域から順次社会実装する。
国土計画では他に、▽持続可能な産業への構造転換▽グリーン国土の創造▽人口減少下の国土利用・管理―なども重点項目として掲げている。同案は今後、パブリックコメント、都道府県の意見聴取を経て5月26日に最終とりまとめを行い、今夏を目途に閣議決定される見込み。
住宅地の面積目標は現状維持
「第6次国土利用計画」では2033年の目的別面積目標を、▽「農地」414万ha(11.0%)▽「森林」2510万ha(66.4%)▽「原野」31万ha(0.8%)▽「水面・河川・水路」135万ha(3.6%)▽「道路」147万ha(3.9%)▽「宅地」197万ha(5.2%)▽「住宅地」120万ha(3.2%)▽「工業用地」16万ha(0.4%)▽「その他の宅地」61万ha(1.6%)―に定めた(カッコ内は国土全体に対する割合)。2020年度との比較で、農地は0.6%減、森林は0.2%減、道路は0.2%増となる。
森林は戦後に植林した樹木が主伐期に入っていることから、これを機として国産材の利用拡大、森林資源の循環利用などにつなげる。
住宅地は、▽コンパクトシティの推進▽居住の集約▽空き家の発生抑制や他用途への利活用▽密集市街地の整備改善―により、地域住民にとってもメリットを実感できるまちづくりを進めることから、面積目標を20年度と同程度に設定した。
商業業務用地、公共施設用地、別荘などの二次的住宅、建築中の住宅などが含まれる「その他の宅地」についても、都市の居住や機能を集約する必要があること、土地利用の効率化などの観点から、面積目標は現状と同等とした。
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