プランがまとまり、契約も交わして、着工へ。いい雰囲気で進んでいた新築案件だったが、基礎工事の様子を見に来た建て主が、打設前の鉄筋の様子を見て「サビが出ているようだけど大丈夫?」と不安げな顔に。軽く「ああ、鉄筋ですからね。サビくらいつきますよ」と対応したのだが…。
「いま思えば心配性というか、細かいことをわりと気にする建て主さんだったので、もっと丁寧に不安な気持ちに耳を傾けてあげるべきだった」。首都圏で工務店を経営するWさんはこう振り返る。
設計の打ち合わせではお互いに意気投合し、うまくいっていただけに少し気が緩んでいたのかもしれない。基礎の打設を見に来た建て主が、鉄筋のサビを指摘したときにも「ああ、またいつもの心配性だな」と軽い気持ちで応対してしまった。
「それはあなたの言い訳じゃないですか?」
確かにサビは鉄筋の一部に発生していたが、基礎全体の割合からすればごく限られた範囲であり、基礎の品質にはさほど影響がないように思われた。「基礎屋さんが古い鉄筋を使ったのかな。あとで注意しておこう」と思いを巡らせながらも、建て主に対しては「鉄筋は鉄でできていますからね。サビくらいつきますよ」と軽口めいた口調で答えた。建て主は「そういうものですかねえ」とまだ納得しない様子だったが・・
この記事は新建ハウジング4月20日号13面(2023年4月20日発行)に掲載しています。
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