「突拍子もない奇をてらったものをつくりたいわけではないが、どこにでもあるもの、いつも同じものではなく、一人一人のお施主さんに向き合いながら、自分たちだからこそできるきれいな建物をつくりたい」。三重県四日市市の設計事務所兼工務店・棲栖舎桂を率いる代表の桂山翔さん(38歳)は、そう話す。
「体系的に設計を学んだことはない」という桂山さんが、現場で磨いてきた設計力から生み出す美しい意匠と高い性能を兼ね備える家づくりが人気で、2024年までの着工枠は予約で埋まっている。ただ、桂山さんは「いろいろとチャレンジすることが楽しい」と、現状に甘んじることなく、家づくりも経営も常に進化を目指す。受注棟数や経営規模の拡大を追うのではなく、デザインや性能、顧客満足、つくり手としての地力といった〝中身〟を高めていこうとする姿勢が、より良い住宅や建物を求める人たちを引き付け、ファン化している。
「何をつくるか」よりも「誰がつくるか」
携わる“ヒト”こそが最大の武器 デザイン・性能の先へ
これまで棲栖舎桂では、許容応力度計算による等級3の耐震性能とHEAT20・G2レベルの断熱性能を標準的な仕様としてきたが、住宅性能表示制度において断熱の上位等級6・7が新設されたことを受け、2023年から「G3レベルを標準仕様にする」方針だ。同時に、環境に配慮した家づくりのニーズがさらに求められることを踏まえて、木質繊維の断熱材の標準化も実践していく。同社代表の桂山翔さんは・・・
この記事は新建ハウジング4月20日号 1面(2023年4月20日発行)に掲載しています。
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