帝国データバンクは4月10日、物価高による倒産が2022年度は463件で、前年度の3.4倍に増加したと発表した。業種別にみると、建設業(94件)は、トップの製造業と並んで多い。なかでも価格転嫁率が低い業種での倒産が目立つ。建設業や不動産業など住宅関連でも川下の業種は価格転嫁率が決して高くないため、今後の動向を注視する必要がある。
帝国データバンクは「物価高倒産」を、法的整理(倒産)企業のうち、仕入れ価格上昇や取引先からの値下げ圧力等で価格転嫁できなかった「値上げ難」などで、収益が維持できずに倒産した企業と定義。長期化する物価高の状況下で、「物価高倒産」は9カ月連続で最多を更新しており、「今後も増加傾向で推移していくものとみられる」としている。
「物価高倒産」の業種詳細別では、「運輸業」(83件)でトップ。以下、「総合工事業」(51件)、「食料品製造」(43件)「職別工事業」(28件)と続いた。要因別にみると、「原材料」(37.4%)、「エネルギーコスト」(23.7%)、「包装・資材」(20.4%)の順となっている。
また、帝国データバンクは「価格転嫁率が低い業種での倒産が目立つ」としているが、バリューチェーン別価格転嫁状況(23年1月発表、帝国データバンク調べ)によると、住宅に関連する業種の価格転嫁率は、建材製造(44.8%)や建材卸(58.8%)で高いものの、建設業(36.0%)や不動産業(28.9%)など川下で低い傾向となっている。
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