気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどで構成される「気候変動イニシアティブ」(JCI)は4月12日、札幌市内で「G7日本開催にあたってのJCIから世界へのメッセージ~再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機を打開する~」と題した記者会見を開催した。
同会見は、5月に開催される「G7広島サミット」および「G7気候・エネルギー・環境大臣会合」(4月15日・16日、会場:札幌プリンスホテル)を主催する日本政府に向けてメッセージを送ったもの。再生可能エネルギーの導入加速に向けた実効性のある施策の導入、規制改革の実施を求めるメッセージ内容に、JCIのメンバー303団体(企業225、自治体16、NGOなど62)が賛同の意を表した。
住宅業界からは、エコワークス(福岡市)、住友林業(東京都千代田区)、積水ハウス(大阪市)などが名を連ねている。
ESGは「非財務」ではなく「将来財務」
会見で加藤茂夫JCI共同代表は「今週、この札幌でG7環境大臣会合が開催されるが、気候変動とエネルギー危機が同時に進む中でどのように立ち向かっていくのか、その戦略の大きな枠組みを議論する重要な会議となる。この機会を捉えて日本政府に対し、グローバルスタンダードに沿った政策強化を求めたい」と発言。
22年5月のG7サミットの内容を加速させ、2035年までに電力の大半を再生可能エネルギーで供給すること、実効性のあるカーボンプライシングの早期導入を行うことを求めた。そのためには石炭火力などの化石燃料からの脱却が必要であり、炭素賦課金の導入を28年度以降ではなく、それよりも早くすべきだとした。
さらに、気候変動危機・エネルギー危機からの回避は「待ったなし」の状態であり、グローバルスタンダートを踏まえたアクションを起こさなければ、世界のビジネスにも乗り遅れると主張。ESG(環境・社会・ガバナンス)は「非財務」ではなく、事業の将来のリスク回避、機会獲得にもつながる「将来財務」だと語った。
続いて、(一財)エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議代表理事・鈴木悌介氏が地域でエネルギー問題に取り組むべき理由について説明したほか、CDPジャパンの松川恵美氏、WWFジャパン自然保護室長の山岸尚之氏らがメッセージを述べた。
日本の再エネ供給不足は深刻
最後に総括して末吉竹二郎代表が「政府の対応が遅れていることに、われわれメンバーは危機感を抱いている。中でも日本国内での再エネの供給不足、立ち後れがもたらすネガティブインパクトは深刻だ。このままでは日本企業が世界のビジネスから排除される。海外に置いた工場を日本に持ち帰りたいと考えている企業も、再エネ調達ができないため戻りたくても戻れなくなっている」と話し、日本政府に二つの危機に対応できるような基盤作りをするよう求めた。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。