国民生活センターがこのほど「国民生活センターADRの実施状況と結果概要について」(2022年度第4回)を公表した。ADR(裁判外紛争解決手続)は、消費者と事業者との間で起こる紛争のうち、その解決が全国的に重要であるものについて、同センターが和解の仲介や仲裁を行うもの。解決が他の同種紛争の解決にもつながるとして公表している。住宅関係ではリフォーム工事の解約に関する紛争が22年度の事例として報告されている。
22年度のADRへの申請は累計122件。直近6年度で977件が申請されている。このうち手続が終了した事案は908件で、約7割に当たる637件で和解が成立した。
内訳は、最多(1位)が「教養・娯楽サービス」の126件。住宅関連は「工事・建築・加工」(7位)49件、「土地・建物・設備」(11位)33件、「修理・補修」(12位)31件、「住居品」(16位)17件、「光熱水品」(23位)1件だった。内容別では、「契約・解約」が最も多く821件。次いで「販売方法」436件、「品質・機能・役務品質」166件の順となっている。
リフォーム工事の事例は、通りがかりの業者に「屋根が浮いている」「雨漏りしている」と言われ、言われるがまま修理を依頼し代金も支払ったが、足場を組み立て始めた段階で不安になり、同センターに相談したというもの。申請者にはクーリング・オフの手続きを勧め、業者には工事の中止を要請。申請者は返金を希望したが、業者との折り合いが付かず、和解は不成立となっている。屋根については後日、別の工務店が確認し、修理は不要だったことが判明した。
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