国土交通省、農林水産省、林野庁は5月9日まで、盛土による災害防止について定めた「改正盛土規制法」(5月26日施行)の基本方針案について、パブリックコメントを募集している。
基本方針案は、(1)災害の防止に関する基本的な事項、(2)基礎調査の実施についての指針、(3)工事規制区域・特定盛土等規制区域・造成宅地防災区域の指定についての指針、(4)その他宅地造成・特定盛土・土石の堆積に伴う災害の防止に関する重要事項―で構成。このうち(4)の重要事項では、▽建設工事から発生する土の搬出先の明確化▽廃棄物混じり盛土の発生防止▽盛土などの土壌汚染等に係る対応▽太陽光発電に係る対応―について示している。
建設工事から発生する土の搬出先については、改正法では計画書の作成対象工事を土砂1000㎥から500㎥に拡大。計画書の保存期間も1年から5年に延長する。また、搬出先の盛土規制法許可の事前確認、搬出後の土砂受領書の確認を義務化し、ストックヤードからの搬出先を明確に記さなければならない。
■違反者には条例より高水準の罰則も
「改正盛土規制法」は、2021年7月に発生した静岡県熱海市での盛土崩落による土石流災害を受けて、危険な盛土などに関する法律を抜本的に見直す目的で策定。土地の用途に関わらず全国一律の基準を設け、危険な盛土などを都道府県知事が指定する。宅地造成用の盛土・切土だけでなく、森林・農地造成用の盛土・切土、単なる土捨てや一時的な堆積についても対象となる。災害防止のために必要な許可基準は、盛土を行うエリアの地形・地質に応じて設定される。
許可に当たっては、土地所有者の同意、周辺住民への事前周知(説明会の開催など)を要件化。許可基準に沿って安全対策が行われているかの確認のため、施工状況の定期報告、施工中の中間検査、工事完了時の完了検査を求める。
実効性を高めるための施策として、盛土が行われた土地の所有者、管理者、占有者が常時安全な状態に維持する責務を明確化する。無許可行為や命令違反に対する罰則については、条例による罰則の上限よりも高い水準とし、最大で懲役3年以下、罰金1000万円以下、法人重科については最大で3億円以下を科す。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。