全米リアルター協会がこのほど発表した「中古住宅販売件数(Existing-home sales)」で、米国における中古住宅の販売件数が14.5%増加したことが明らかになった。増加の背景には、住宅ローン金利の一時的な低下と住宅価格の下落があるとみられる。
一戸建て・タウンホーム・コンドミニアム・コーポを含む米中古住宅販売総件数は、前月から14.5%増加し、458万件となった。2020年7月(22.4%増)以来の大幅な伸びにより、12か月連続の減少に終止符が打たれることとなったが、前年同月の592万件と比較すると22.6%の減少となる。
中古住宅販売件数を地域別に見ると、米国の四つの地域すべてにおいて、前月比で増加した。また、北東部を除く3地域が2桁の増加を示した。それぞれの地域の販売件数は、北東部で52万件(前月比4.0%増・前年同月比25.7%減)、中西部で109万件(前月比13.5%増・前年同月比18.7%減)、南部で211万件(前月比15.9%増・前年同月比21.3%減)、西部で86万件(前月比19.4%増・前年同月比28.3%減)となった。
米中古住宅販売価格の中央値は36.3万ドル(約4780万円)で、前年同月の36.37万ドル(約4789万円)から0.2%下落した。販売価格は131か月連続で前年同月比で上昇していたが、過去最長となる連続上昇記録はここで途切れることとなった。
住宅在庫は98万件で前月から横ばいだったが、前年同月の85万件からは15.3%増加した。現在の販売ペースで換算すると在庫は2.6か月分となり、前月からは10.3%減少したが、前年同月(1.7か月分)からは増加した。適切な住宅在庫は4.5か月分から6か月分と考えられているため、依然として非常に低い水準であるといえる。
販売に占める初回購入者の割合は27%で、前月が31%、前年同月が29%であったことを考えると鈍化傾向といえる。一部の初回購入者が、価格により市場からはじき出されてしまっていると考えられる。
全米リアルター協会のチーフエコノミストであるローレンス・ユン氏はリリースで、「住宅ローン金利の変化を意識し、住宅購入者は金利の低下を利用している」と説明。さらに、「住宅価格が低下し、地域経済が雇用を増やしている地域では、より強い販売増が見られる」と、データについて分析した。
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