政府は4月4日、「再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」を開き、環境省・経産省・国交省など関係府省庁が連携して取り組むアクションプランを取りまとめた。より強靭なエネルギー供給構造を実現するための施策として、次世代の太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」、日本の地の利が生かせる「浮体式洋上風力」の両電力について技術開発・実装を進める。「ペロブスカイト太陽電池」については、量産技術の確立や生産体制の整備を進め、2030年以前の早期社会実装を目指す。脱炭素に向けた突破口として期待される水素については、2017年に国家戦略として作成した「水素基本戦略」を5月末頃までに改定し、新たな導入目標を定める。
家庭用蓄電を調整市場に 26年度までに開始
再生可能エネルギーの大量導入を行うために必要な次世代ネットワークの構築についても盛り込まれた。全国規模での系統整備や、北海道と本州をつなぐ海底直流送電の整備などを推進する。海底直流送電は2030年度までの完工を目指し、2023年度内に▽道路・鉄道網などを活用した敷設ルート作成に向けた調査・調整▽ファイナンス(出融資・債務保証)の枠組みの創設▽実施主体の立ち上げに向けた環境整備―に着手する。
また再エネを導入した際の電力の調整力を確保するため、定置用蓄電池の導入の見通しを23年夏頃に策定する。電気自動車や家庭用蓄電池などが需給調整市場に参加できる仕組みを早期に構築し、26年度までの開始を目指す。
政府保有建築物の半数以上に太陽光設備設置
太陽光発電では、2030年度に現在の約2倍に当たる14~16%導入を目指し、公共施設・ビルの壁面、工場・倉庫・学校施設などの屋根、空港・鉄道の未利用地などに積極的に導入。政府保有の建築物の約50%以上に太陽光発電設備を設置する。地方公共団体についても同様の取り組みを推進する。事業用太陽光については23年度下期より屋根設置の買取区分を創設し、地上設置よりも高い買取価格を設定する。
バイオマス発電では、新たな燃料として早生樹・広葉樹などを開拓し、国産バイオマス燃料の低コスト化を図る。下水汚泥を活用した下水道バイオマスについては、地域へのエネルギー供給拡大に努める。これらによって使用する燃料のライフサイクルGHG排出量が、30年までに火力発電と比較して50%削減、2030年度以降に70%削減されるよう事業環境整備を進める。
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