設計・施工の連携が現れた事例として、きよかわ(広島県広島市)の「可部の家」を紹介する。高性能化と同時に、和の要素を取り入れた落ち着いた暮らしを実現。それを象徴しているのが、床や天井の高さ、素材使いなどで他の空間と変化をつけた畳敷きの小下がりのリビングだ。
ポイント① 準防火地域で小窓を並べて日射取得
◉可部の旧街道沿いにある“うなぎの寝床”と言われる東西に細長い130坪の敷地。将来的に事務所を建てる計画がある道路側の30坪を分筆。道路から8m程度入った場所からガレージ、住宅と続く
◉屋根はネオマフォーム180㎜厚、壁は高性能グラスウール105㎜厚+ネオマフォーム60㎜厚、床はネオマフォーム90㎜厚という高断熱仕様
◉南側にスペースはないが、十分な日射を確保したい。そこで南側正面にある隣家が平屋だったため、LDK(20畳程度)の中のダイニングの吹き抜け上部に日射取得のための開口を設けた。準防火地域で製品の制約から大きな窓をつけられなかったため、幅750㎜の窓(YKK・APW430)を6つ並べた
◉基本的には長方形の総二階のシンプルな形状で、ダイニングとつながる屋根が架かるウッドデッキを除くと、リビングだけが飛び出す形となっている
ポイント② 家族が集うダイニングは明るさと広さを重視
◉食事の延長で家族が集い、コミュニケーションの主体となる場所としてのダイニングの明るさと広さを重視。ダイニングをリビングよりも広くする設計のパターンが多い
◉ダイニング・キッチンの床はオーク材(15㎜厚・幅120㎜)でオスモのクリア塗装。壁は全て漆喰仕上げで、天井はスギの羽目板
◉階段の位置については、、ダイニングは吹き抜けにして開放感や明るさを確保したいというプランから決定。吹き抜けに面するように階段を配置した。LDKの空間の中にオープンな階段を配置するのが基本パターン
ポイント③ リビングには掃き出し窓を設けない
◉ダイニング・キッチンの床から階段1段分(200㎜)下げた畳敷きのリビング(8畳程度)が特徴的。リビングを「家族が座って落ち着くスペース」と位置づけ、人が前を横切ったり、通りに面するような位置に配置しないようにし、原則として掃き出し窓は設けない。畳はオーソドックスなイグサ色のスタイロフォーム55㎜厚
◉リビングは・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー3月号(2023年2月28日発行)/設計施工を究める超家づくり術<超高性能編>』(P.58~)でご覧ください。
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