建築BIMが利活用される仕組みの構築を目指す「第10回建築BIM推進会議」が3月28日にウェブ会議方式で開かれ、各部会や各団体の活動報告のほか、次年度の活動方針が発表された。国土交通省住宅局建築指導課・宿本尚吾課長は会議冒頭で「5年ほど先をターゲットにBIM用いた建築確認が、部分的でも良いのでスタートしている社会を目指す。そこからバックキャスティングして、この5年間に取り組むべきことは何なのか、何を優先的に行うべきかを議論したい」と話し、建築産業や建築行政のデジタル化を加速化させる考えを示している。
5つの部会から成る検討部会のうち、「BIMを活用した建築確認検査の実施検討部会(3部会)」では、一般建築作業部会と戸建住宅等部会が共同で、BIM審査の効率化に向けた在り方を検討。2022年度は申請・審査の効率化・合理化、データの連携・利活用について内容を整理。▽コミュニケーション手段としての課題▽デジタルデータの利用に伴う技術的な課題▽制度上の課題―について検討した。
このうちコミュニケーション手段としての課題では、申請者(設計者)の意図・意思の表現の方法として、図面を2D/3Dに置き換える表現方法などを検討。BIMの特性を生かした審査方法とデータの取扱い、設計段階における法適合確認の方法などについて話し合われた。
設計関係団体なども独自に検証
同会議では他に、設計関係団体が独自のテーマでさまざまな角度から検討・検証を行っている。日本建材・住宅設備産業協会では、窓(サッシ、CW)・住設(トイレ、ユニットバス)・素材(断熱材、ガラス、ボード類)などの部品について、積算に必要なBIM属性の整理、BIMデータの提供方法や活用方法などについて検討を行った。
林野庁では、新たな木材需要の創出のため、これまで木材がほとんど使われていなかった中高層建築物でのBIM活用を念頭に、▽木材・木質材料の標準的なBIMオブジェクトの整備(木材BIM標準オブジェクトライブラリ作成)▽木材・木質材料情報の集約・共有化(接合金物のBIMサンプルデータ作成)▽木材情報のデータ連携環境の整備(IFCプロパティセット案の作成)―などを進めた。
2023年度は、部会1(環境整備部会)でガイドライン改定に向けて議論するほか、部会3で戸建住宅などに対応した確認の仕組みの検討、部会4(積算の標準部会)で分類体系の素案策定などを行う予定。
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