初期費用ゼロで「8割」が要望する安心を提供
新日本エネックス(福岡県福岡市)は工務店向けに太陽光発電パネルと蓄電池をセットにしたリーススキーム「エネリース」をリリースする。最大の特徴は住宅ローンに組み込まれない独自の金融スキームで、施主のローン枠を圧迫することなく工務店はエネルギーの自給自足生活のメリットを提供することが可能だ。さらに15年リースのため、施主は月額1万8000円(太陽光5kW+蓄電池5kW)と低コストかつ初期費用なしで光熱費削減や非常時の安心感を手に入れることができる。同社の事業責任者の山本正行さんと取引先工務店である万代ホーム営業所長の田中真理子さんに話を聞いた。
住宅ローンの枠に関係なく設置できる仕組みが必要だった
新日本エネックスが今回全国の工務店向けにリリースするのが「エネリース」だ。同社は太陽光パネル・蓄電池の販売・設置・メンテナンスをワンストップで提供しており、施工数も年間2000件(棟)とすでに九州地方ではナンバーワンの実績を持つ。そんな同社が設備設置とローンをセットにしたリースプランを開始する。同社事業責任者の山本正行さんは「太陽光・蓄電池を付けたくて住宅ローンに組み込むと枠を超えてしまい、いわゆるローンアウトになってしまう。それで諦めているお客様が非常に多く、借入額に関係なく設置できるスキームが必要だと感じていた」とサービス開始の背景を話す。
今回のサービスでは同社がリースを提供する形になるため、施主の住宅ローン枠を圧迫することはない。さらに、パネルの設置からメンテナンスまで、すべて実績のある同社が行うことで、工務店側の負担やリスクも削減した。このようなサービスが今回全国の工務店向けにリリースできたのは、同社の長年の実績があればこそ。さらに施主の月々の負担を軽減するべく15年のリース期間にもこだわっている。
山本さんは元々大手建材メーカー出身で、全国の多くの工務店と本音の付き合いを重ねてきた。「つくり手と施主の双方がZEHのメリットを理解しているのに諦めるのは本当に悲しいことで、ミスマッチをなくしたい」と想いを話す。
施主の8割が太陽光を要望
同社の取引先である万代ホーム(宮崎県)営業所長の田中真理子さんは「実際に弊社のお客様でも泣く泣く太陽光設置を諦めているお客様が非常に多い」と話す。
「弊社のお客様の約8割が、こちらが光熱費削減のメリットや安心感をお伝えすると、太陽光を設置したいという。しかしながら実際に設置されるのは約4割。その理由のほとんどがローン枠によるものだ」と話す。「弊社がZEHを推進していることもあって、もともと関心の高いお客様が多いのも理由だと思いますが、ローンで諦めざるを得ないお客様に対して何か方法はないのかと考えていた」という。
同社はデザイン住宅を訴求の軸としつつZEH 基準の高性能を全棟標準にしているのが強み。「年々棟数が伸びていく中で来てくださるお客様の層が拡大する一方で、自分たちが理想とする住宅を提供できないもどかしさがあった」
今回のサービスの標準プランであるパネルと蓄電池を設置することで、光熱費は平均して約21〜25万円削減できる(UA値0.58以上で計算、電気ガス併用と比べ)。施主は月額約3000円程度を実質負担し、15年の支払い終了後はそのまま施主の持ち物になる。工務店は代理店として同サービスを販売する形となり、1契約あたり約15万が工務店の利益になる仕組みだ。
必ず工務店の強みになるスキーム
東京都の方針にも代表されるように、今後はさらに住宅業界に省エネの取り組みが求められるようになる。また近年の災害への杞憂や、直近の光熱費上昇によってユーザーの関心はこれまで以上に高まるはずだ。
「蓄電池を設置したお客様の中には『停電になっていたことに気が付かなかった』と言う方もいらっしゃるほど。電気代が上がっていること以上に、緊急時も安心して生活できることにメリットがある。工務店にとってそれは大きな強みになるはずだ」(山本さん)
実際に施工も行い、住宅のメンテナンスも長年行ってきた同社だからこそ実現できた「金融とハード」双方の長所を取り入れた太陽光パネル+蓄電池のリース設置プラン。幅広い層の顧客ニーズを捉える新しい武器になるはずだ。
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