過去2回の連載記事では、建物の熱エネルギーについてドイツの政策と実情について論じた。冷涼な気候のドイツでは、暖房エネルギーをいかに抑えるか、という「稼働エネルギー」削減の課題である。一方、省エネ改修や低エネルギー性能の新築により、稼働エネルギーがほんのわずか、もしくはゼロになると、改修や新築に投入されるマテリアルの「グレーエネルギー」がより重要なテーマになる。
「グレーエネルギー」とは、マテリアルの全ライフサイクル、すなわちマテリアルの採取・加工・製造・輸送・施工、場合によってはリユースやリサイクルを通じ、廃棄に至るまでに必要となるエネルギーである。これは、建物の省エネ性能を示す一般的な証書では、顧慮されていない。ドイツでは、建物のCO2排出は全排出の6%を占めている(2020年)。マテリアル別の内訳で最も大きな割合を示すのはコンクリート/セメントで36%となっている。2番目が窓・ドア・ガラスで25%、3番目が断熱材となっている。コンクリート/セメントに関しては、・・・
この記事は新建ハウジング3月30日号 7面(2023年3月30日発行)に掲載しています。
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