今回は、片流れ屋根の雨漏り事例の2回目となる。前回は、棟包みがなく、雨の入り口が開けっ放しの状態であること、緩勾配であるために滞留した水が軒先から逆流しているという2点が判明した。このような状況で屋根はどのように傷むのか、現場写真とともに説明する。
雨漏りの現場は前回に引き続き、築9年の木造住宅B邸だ。0.5寸勾配という緩い傾斜の片流れ屋根で、竣工6年目から雨漏りが発生している。前回は散水試験などを行い、雨水が屋根仕上げ材の裏に浸入していることが明らかとなった。雨は、棟包みのない屋根の棟部分などから浸入しているほか、軒先からも滞留水が逆流している状態だ。
断熱材が雨を吸水して野地板を湿潤状態に
特に軒先から約1.8mの範囲の屋根は、実際にその上を歩いてみると、どうもふわふわとした感触がある。ちょうど床下が腐食している場合のような感じだ。板金屋根とルーフィングをめくってみると、案の定、屋根の野地板が湿潤状態となっており、軒先に近い範囲になるほど腐朽によってボロボロになっていた。被害を大きくしている原因のひとつが、野地板の裏側に施工されていた吹き付け断熱材の存在だ。浸入した雨水はこれに吸水され、野地板に滞留し続けて腐朽を促すこととなってしまった。さらに・・・・
この記事は新建ハウジング3月30日号 4〜5面(2023年3月30日発行)に掲載しています。
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