建設業における時間外労働の罰則付き上限規制、いわゆる「2024年問題」まであと1年。建設業は、長らく“働き方改革”が叫ばれながらも、長時間労働が根本的に是正されていない状況が指摘されているが、1年後には週休2日制・1日2時間の残業でも黄色信号だ。刻一刻と猶予期間の終わりが迫るなか、工務店はどうすればいいのか。建設業の労働生産性に詳しい芝浦工業大学・建築学部建築学科の蟹澤宏剛教授に聞いた。
10年以上も前から工務店の「働き方改革」の必要性が叫ばれてきたものの、未だ業界全体では危機感を持っているとは言い難い。その要因として、工務店は、長年にわたって続いてきた商習慣から抜け出せていない点が挙げられる。
工務店は大工などの施工技能者を社員化することは稀だ。外注の一人親方である個人事業主の大工に木工事を発注するのが主流である。健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険などの社会保険の加入をはじめとする社会保険の加入の必要がなく、賞与や手当の支給義務がない。
こうした支払いを「経営的なリスク」とし、コストを削減するために雇用や育成を放棄し、一人親方に任せてきた。その〝ツケ〟がまわって・・・
この記事は新建ハウジング3月30日号 3面(2023年3月30日発行)に掲載しています。
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