米国商務省国勢調査局がこのほど発表した「建設支出(Construction Spending)」のデータで、アメリカにおける一戸建て住宅の建設支出が、前年同月比で18.4%減少したことが明らかになった。
2023年1月の米民間住宅建設支出は前月比マイナス0.6%と、ほぼ横ばいだった。前年同月比ではマイナス3.9%となり、全体的に減少傾向となっている。
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民間住宅建設支出の減少は、前月比マイナス1.7%で8か月連続の減少となった一戸建て住宅建設支出の減少に起因する。米一戸建て住宅建設は、サプライチェーンの問題による供給の逼迫や、金利の上昇による住宅価格の高騰で、2022年の初めから減速が続いている。
一戸建て住宅建設が後退する一方で、集合住宅の建設は2022年を通して高水準で推移し、一戸建て住宅の逆を行くような動きを見せている。集合住宅の建設支出はプラス0.4%と微増し、前年同月比では20.6%も増加した。これは主に、賃貸アパート・マンションへの旺盛な需要に押されてのものとみられる。
全米住宅建設業協会(NAHB)が先日発表した「集合住宅市場調査(Multifamily Market Survey)」の結果によると、米集合住宅に関する二つの信頼感指数はいずれもマイナス圏にとどまってはいるものの、強い需要を受けて回復の兆しを見せている。
集合住宅の生産状況に関する事業者からの回答を基に算出される「集合住宅生産指数(Multifamily Production Index、MPI)」は3四半期連続の低下から脱出し、前四半期比プラス2の34ポイントとなった。
また、集合住宅の稼働率に関する事業者からの回答を基に算出される「集合住宅占有指数(Multifamily Occupancy Index、MOI)」は1年にわたった低下から反転し、前四半期プラス4の49ポイントとなった。
MPIとMOIはいずれも0から100で表され、50を下回った数値は、前四半期と比較して「生産が不調」あるいは「稼働率が低い」と回答した事業者が多かったということを示している。
建設支出と集合住宅市場調査の結果を見ると、米集合住宅の市場が好調に推移していることは確かだが、全米住宅建設業協会は、一部の市場では供給が追い付き始めており、今後2年間で大幅に減速するという予測を明らかにしている。
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