国土交通省は3月14日に開いた建築BIM推進会議環境整備部会の中で、設計・施工関係団体など13団体を対象に実施したBIMの活用に関するアンケート結果を発表した。アンケートの実施期間は2022年11月17日から12月16日まで。回答数は696。BIM導入に前向きな企業が2年前と比べて増加した一方で、導入の必要性を感じていない企業やコストや業務負担などを理由に導入をためらう企業も4割程度あることが同調査で分かった。調査結果の詳細は3月28日開催の「第10回建築BIM推進会議」内で公表される。
回答者のうちBIMを導入している企業は48.4%で2020年度から2.2ポイント増加。業種別では総合設計事務所の81.4%、専門設計事務所の41.3%、総合建設業の41.1%が導入している。このうち総合建設業では101人以上の規模の企業での導入が全体の72%を占め、100人以下の企業でも2年前よりも導入割合が増えている。BIMを活用しているプロジェクトの特徴については、「比較的簡単な形状の建築物」(58.5%)、「スケジュールに余裕がある建築物」(52.8%)などの回答が多かった。用途は「事務所」(63.8%)、「工場」(52.2%)、「公共施設」(42.7%)が上位。「戸建住宅」は12.2%だった。構造別では「S造」「RC造」がともに7割を超えた。
二重作業になることへの不満も
BIMを導入したことによる効果・メリットは「3Dでの可視化によるコミュニケーションや理解度の改善」(79.8%)、「顧客に対して良い印象」(61.1%)など。メリットを感じない場面は「二重作業になるなど作業に手間がかかる」(60.8%)、「分野をまたいだ連携ができていない」(51.3%)などがあった。BIMの活用によりコミュニケーション環境が良好となる一方で、作業時間や手間がかかるなど、社内でメリットを享受できていない様子がうかがえる。データ連携については自社内の62.8%、社外の81.7%で連携を行っている。社外では「設計者-施工者間」(57.1%)、「設計者間」(49.4%)でデータ連携の割合が高かった。
未導入の企業のうち「3年以内に導入する」または「導入に興味がある」と答えたのは58.5%。2年前と比べて8.3ポイント増加している。BIMを導入していない理由については、「発注者からBIM活用を求められていない」(79.4%)、「CADなどで問題なく業務が行える」(73.5%)、「習熟するまでの業務負担が大きい」(59.3%)などの回答が見られた。何を契機に導入するかについては「BIMに係るコストが低減する」(72.9%)、「公共発注でBIM活用が求められる」(67.6%)、「費用対効果が明らかになる」(67.1%)などの回答が多かった。
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