防災・減災事業等に取り組む応用地質(東京都千代田区)は、東日本大震災から12年となるのを前に、被災3県(岩手・宮城・福島)に在住している18歳~69歳の男女1500人を対象に「被災地での防災意識に関する調査」を実施し、このほど調査結果を発表した。
被災3県の防災意識について質問したところ、防災意識が「薄れている」「どちらかというと薄れている」と回答した人は77.4%に上り、「薄れていない」と回答した人(22.5%)を大きく上回った。年齢別で見ると、 防災意識が「薄れている」「どちらかというと薄れている」と回答したのは40歳~49歳が最も多く、次いで50歳~59歳、60歳~69歳と年齢が高い層の方が防災意識の薄れを感じていた。防災意識が「薄れていない」との回答が最も多かったのは、18歳~29歳の若い世代だった。ただし、同社では、高い年齢層ほど、地域全体の防災意識が薄れていることに危機感をもって「薄れている」と回答している可能性もあるため、この結果には今後さらなる分析が必要としている。
防災意識が薄れている主な理由は「警報慣れ」
防災意識が薄れていると感じている理由として、約3人に1人が「注意報や避難情報が頻繁で慣れてしまった」と回答。頻繁に注意報や避難情報が続くことで、いわゆる “警報慣れ”という状況が生まれている実態が浮き彫りとなった。また、「被災経験を風化させない取り組みが十分でない/減ってきた」や「被災経験者が減ってきた」と回答した人もおり、継続的に被災経験を伝える取り組みが重要であることも示された。なかには「国や自治体の防災対策事業やインフラ整備が進み安心感が増しているから」との回答もあり、国や自治体の復興事業の成果に対し、一定の評価をしている様子も見受けられた。
半数以上が「地震・津波の予測精度の向上」を期待
防災のデジタル化に対して期待することは何かを質問したところ、「地震や津波の予測精度の向上(57.5%)」や「空振りの少ない的確な避難情報の提供(36.9%)」など、災害発生時における情報精度の向上に期待する声が多かった。そのほか「避難物資などの在庫最適化(40.3%)」など、被災後の対応にもデジタル技術の活用に高い関心や期待をしていることも明らかとなった。
未曽有の被害をもたらした東日本大震災震災から12年。最も被害の大きかった被災3県においても高齢化や人の入れ替わりなどが進んでおり、防災意識の薄れが懸念されている。同社では今後も、社会の防災・減災力向上に貢献できるよう独自調査を実施していくとしている。
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