帝国データバンク(東京都港区)は3月3日、2023年2月の景気動向調査結果を公表した。新型コロナウイルス新規感染者数の急速な減少による人流増加が押し上げ要因となったものの、価格転嫁が十分に進まない一方で人手不足感の高まりが続くなど、足踏み状態で推移。仕入価格の高止まりや部材の入手難などが『製造』や『建設』を中心に悪影響となった。
他方で、IT 投資需要や不動産などは上向き、『サービス』『小売』など5業界で厳しいながらも改善がみられ、2月の景気DIは前月から横ばいの42.1となった。今後も「下振れ要因を多く抱えて弱含みながらも、おおむね横ばい傾向で推移すると見込まれる」とした。
建設業の2月の景気DIは43.7で前月比0.4ポイント減の3カ月連続の悪化となった。不動産業は前月比0.2ポイント増の46.3で2カ月連続の改善となっている。
調査各企業からは、「全国的に建設投資が活発」「不動産の売買取引は活況」という声が聞かれる一方、「施工における労働力不足とそれによる労賃の上昇、資機材の価格高騰が受注拡大の足かせとなっている」(一般管工事)、「仕事は豊富にあるが、受注単価が低い。また、材料費・外注費の上昇が続いているため利幅が縮小している」(電気配線工事)、「人手不足や物価上昇に加えて工期延滞により影響を受けている」(大工工事)、「単身者向け賃貸物件の入居が新型コロナ以降かなり苦戦している」(不動産代理・仲介)など、厳しい状況を訴える声が多かった。
先行きについては、景気上昇が見込まれるものの、「部材などの供給の遅れが懸念材料」 (一般電気工事)、「人件費・資材の高騰が引き続き利益に影響を与える」(建築工事)、「円安で資材が高止まりしており、今後の動きが読めない」(型枠大工工事)など、利益確保の困難な状況が継続するとの見通しを示す企業が目立つ。
また、「建築費高によるマンション価格の上昇に消費者がついてこれないほか、金利の先高感もありマイナス材料が多い」(建物売買)、「電気料金や固都税のさらなる上昇、インボイス制度の施行により、キャッシュフローで厳しくなることを見込んでいる」(貸事務所)といった声もあった。
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