国土交通省は3月6日、地域の住宅課題解決に向けた「住宅金融モデル事業」(住宅ストック維持・向上促進事業)を実施する民間事業者の公募を開始した。地域に根ざす金融機関が、既存住宅の担保評価手法の改善や住宅ローン商品の開発・普及を行う際に参考となるモデル事業を募集するもの。
今回募集するのは、「既存住宅等価値発見モデル事業」「マンション長寿命化融資促進モデル事業」「地域課題解決型住宅金融モデル事業」「リバースモーゲージ・リスク分析事業」の4種類。先進性、実現可能性、消費者・工務店への訴求性などを評価のポイントとして審査を行う。補助金は1事業あたり2000万円。事業期間は交付決定日から令和6年2月1日まで。
このうち「既存住宅等価値発見モデル事業」では、良質な住宅ストックの形成・循環に資する担保評価手法の構築などを想定。「地域課題解決型住宅金融モデル事業」では、▽ZEHの普及促進▽伝統建築物の保全・活用▽住宅分野の木材利用の促進▽空き家活用▽移住者向け住宅への呼び込み▽子育て支援を目的とした住宅リフォーム―などに関わるマッチング事業や住宅ローン分野の開発事業、非対面での融資審査などを事業例として挙げている。
住宅金融支援機構の「2022年度住宅ローン貸出動向調査」によると、融資ノウハウが十分ではない民間金融機関における既存住宅担保評価は、主に経過年数に基づいて行われており、維持管理や物件ごとの品質差(リフォーム、リノベーションの有無など)を考慮していないとの結果が出ている。こうした現状を踏まえ、国交省では良質な既存住宅が資産として適正に評価され、将来世代に承継されるための住宅循環システムの構築を進めている。
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