超高性能住宅がニッチ市場で存在感を示している。これらの住宅は躯体性能が高いだけでなく、独創性の高い形態や空間性を備えているものが多い。それらは設計者の恣意的な表現ではなく、超高性能化することで顕在化した課題に対して技術的に回答した結果だ。超高性能住宅特有の設計手法の背景と施工管理上の課題についてまとめた。
超高性能住宅は暮らしやすさと意匠も重視される
◉高性能住宅が普及しつつある。ここで言う高性能とは耐震等級3で断熱等級6。高性能住宅が市場に認知されたことで、より快適で光熱費の掛からない住宅を志向する客層が現れている
➡上記ニッチ市場に向けて、さらに高性能化を図ったのが超高性能住宅。ここでは耐震等級3で断熱等級7以上の住宅を指す
◉超高性能住宅の性能値だけを見ると断熱等級がワンランクアップしただけで高性能住宅と違いはない。断熱を除くと品確法など法律上の性能指標には上位のカテゴリーがないためだ
➡仮に耐震等級4などの上位等級ができれば、超高性能住宅においてはそれを満たす設計が採用されるだろう
◉断熱等級6と断熱等級7以上ではコストが大きく変わる。超高性能住宅は床(基礎)や壁、天井、窓ともに多層化するので、延床面積30坪程度の住宅で200〜300万円程度高くなる
◉換気空調設備に完璧を期せばさらに100万円程度は高くなる。高性能住宅より総額10%程度コストアップすることで、世帯収入などの顧客属性が変わり、性能以外の部分に関して要求が多くなる
◉高性能住宅の場合、「高コスパZEH」などコスパ重視の企画が成り立った。躯体性能を最優先して、間取りの工夫や自然素材の活用による意匠性などはそれほど求めない顧客向けの企画だ
◉超高性能住宅は高性能住宅と顧客の志向性が大きく変わる。前者は性能と同様に暮らしやすさや意匠性についても高い水準が求められる。その要求に応えるには総合的な「設計力」が必要
◉性能と意匠は建物の要素として相互に関連している。意匠と関連の深い目に見える部分と性能と関連が深い見えない部分。双方の施工品質を同時に確保するには総合的な「施工力」が必要
付加断熱はフェノールフォームが増加
◉前段で超高性能住宅の顧客属性について整理した。次に建物としての超高性能住宅の特徴を見ていく。高性能住宅からの工法上の変化は床・基礎や壁、屋根、窓の多層化である
◉最初に外壁を超高性能化する際の検討事項を見ていく。大前提として付加断熱となる。基本的には外側に断熱材を付加する。夏型結露を防止する意味でも外側に断熱したほうが有利だ
◉ただし・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー3月号(2023年2月28日発行)/設計施工を究める超家づくり術<超高性能編>』(P.8~)でご覧ください。
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