ドイツでは、比較的早くから、住宅の躯体省エネ性能を一定レベル以上に義務付ける制度が導入されてきた。その基準値は、暖房エネルギー需要で表すと、1982年に約140 kWh/m²・年、1995年には約100 kWh/m²・年、2001年には約75 kWh/m²・年、2008年には約60 kWh/m²・年に引き下げられ、2016年以降は約45 kWh/m²・年と推移している。いずれもポイントとなるのが、けっして「断熱」偏重にならず、躯体マテリアルを生かした蓄熱性能を活用することだ。ドイツの省エネ改修に対する取り組みを整理していこう。
ドイツでは、築40年くらいまでの住宅は、一定省エネ基準を満たしているが、最終エネルギー消費の約3割を占める建物熱エネルギー消費を抑えるための大きな課題は、築40年以上の建物である。住宅ストックでは、1978年以前に建てられた建物がおよそ7割もある。それらの建物で省エネ改修がされていない場合は、暖房エネルギー消費は200kWh/m²・年を超えるものが多い。
過去20年間、建物エネルギー証書作成の義務付けや、各種助成制度により、多くのエネルギー性能の悪い住宅の省エネ改修が促進されてきた。全住宅ストックに・・・
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