YKK AP(東京都千代田区)は、YKKグループが3月2日開催した2022年度の連結業績と2023年度の経営方針説明会で、3省連携の「先進的窓リノベ事業」の効果が早くも出ており、内窓の受注数は昨年の3倍と大きく伸長していることを明かした。
2023年度の計画では、3省連携補助事業により、リフォーム分野が活性化するとして、マドリモの拡販を進める。同社社長の堀秀充さんは「窓の断熱リフォームに1000億円という非常に大きな補助金が充てられている。来年度にかけての大きなポイントになる」と述べた。
堀社長は、「補助事業の効果がこれほどだとは思わなかった。まだ生産体制が整っていない状態。納期がかなり遅れてきている。どれだけ内窓が作れるかが勝負」とも語り、「各地の樹脂内窓工場の一部生産設備を増やし、人員も拡充して生産能力の増強を図る」とした。
今年7月までには受注に対応できるように工場の稼働率を上げる。また、「施工店も足りなくなる」として、新規施工店の施工研修体制も整える。
一方、新築分野でも窓の高断熱化を引き続き進め、好調な樹脂窓をさらに伸ばしていく。10月には、断熱性能と日射熱取得率を両立させた高性能ガラス(Ug値0.58、η値0.58)をAPW430に追加する。価格は従来ガラスと比べ1.5倍ほどになる見込みだが、高性能を売りにしている工務店に向けて訴求する。
2022年度で窓の高断熱化率は76%と8割に迫る勢い。同社では、分譲住宅においても高断熱窓化を進め、2024年度に高断熱窓化率90%の達成を目指す。
これらの取り組みのほか、エクステリア事業では分譲住宅においても建物・外構一体のトータルコーディネイト提案や、ビル事業では7月の埼玉新工場稼働による首都圏強化などで受注拡大を見込み、2023年度は売上高は前年度比108%の5479億円、営業利益は同189%の276億円、純利益は同137%の202億円を計画した。
YKK APの2022年度の業績は、資材価格の高騰や急激な円安などの影響を大きく受けたが、売上高は前年比113%、計画比103%の5064億円と同社初の5000億円を突破し、2年連続で過去最高を更新する見込み。住宅の高断熱窓化の推進や政府の補助事業で住宅リフォームやビル改装分野が伸長した。また海外でも特に北米やインドネシアで販売が好調だった。
一方、営業利益は前年比84%、計画比66%の146億円と減益となる見込み。資材高騰で、原材料・資材価格が220億円コストアップしたが、国内の価格改定が遅れ、192億円の転嫁にとどまった。また、昇給・インフレ手当の支給など人件費の増加の影響もあった。当期純利益は為替差損益により前年比130%の147億円となった。
堀社長は、「販売に関しては2022年度は非常に好調だったが、資材高をすべて価格転嫁することはできず、特に国内がかなり減益になった。ただ当期純利益は前年に比べプラスになった」と振り返った。
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