LIFULL ArchiTech(ライフルアーキテック、東京都千代田区)は、老朽化した空き家の利活用を容易にすることを目的に、同社が保有するインスタントハウスの施工技術を応用した低コストで耐震・居住性能を向上させる技術の実証事業を、2022年11月から名古屋工業大学(名工大、名古屋市)および愛知県南知多町と共同で実施している。
その一環として、名工大の学生向けに、同技術を適用した空き家の利活用を提案するデザインコンペティションを開催。南知多町への移住促進や関係創出の拠点となるような作品を募集し、1月に受賞作品を発表した。今後、同技術で改修される空き家に利活用のコンセプトとして実装することを想定し、実現可能性を検証していく。今回の取り組みによって、学生は活用見込みの低い老朽化した空き家に実際に触れ、問題意識を感じる機会を得ることができた。また、同技術で改修した空き家の活用や内装デザインに、建築を学ぶ学生の発想力を掛け合わせることで、新たな空間デザインの創出が期待できるとした。
インスタントハウスは、東日本大震災をきっかけに開発された簡易住宅。三次元形状に加工した膜素材を膨らませて、内側から断熱性のある軽量な素材を定着させるというもの。形状や大きさを自由に選択可能で、素人でも数時間で施工できる。断熱性や遮音性が高く、廉価性や汎用性などに優れている。
南知多町では、経年劣化が進んだ空き家が多く、利活用に必要な耐震改修を実施するとコストを抑えて空き家を活用したいニーズに反してしまうため、活用が促進されず多数の空き家が放置されているという。実証実験を通して耐震・改修の工事費が通常より低コストにできる可能性があることがわかったとして、今後はこの結果を踏まえ、社会実装モデルの検討を進めていく。
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