今回から3回シリーズで、片流れ屋根の雨漏り事例について解説する。近年、太陽光発電システムを搭載させるために片流れ屋根を採用するという住宅が増えてきた。シンプルな形状ではあるが、意外と雨漏り被害は多い。初回はその背景と注意点について事例を通じてお伝えしよう。
今回から始まるシリーズでは、雨漏り防止の最重要部位のひとつである、屋根について取り上げる。それも近年、急増している片流れ屋根について注意を喚起したい。
通常、屋根における雨漏りは、寄棟や切妻などの「山」や「谷」など屋根面の継ぎ目で発生しやすい。片流れの場合、そうした継ぎ目はなく、一見、雨漏りリスクが低いものと認識されがちだ。
しかし、片流れの形状は、どちらの方角からも風雨が当たる面積が多く、屋根面を流れる水量も一方向に集中する。傾斜が上のほうの外壁面は軒に守られにくいので雨が直撃しやすい。雨樋にも水量が集まりやすいので負担が大きい。
以上のような理由から、片流れ屋根では、、屋根の端部や外壁との取り合い部、雨樋周辺などで雨漏りのリスクが高くなる。私が、片流れ屋根の住宅を調査する際に注視するポイントもそこだ。
「棟包み」の有無が雨漏りリスクを左右する
今回取り上げるB邸も片流れ屋根だ。築9年の木造住宅で、6年目からすでに雨漏りが確認されていたらしい。建てた工務店はすでに倒産しており、設計を手がけた建築士が知人の業者を紹介して雨漏りの補修にあたろうとしていた。私は、瑕疵保険会社から依頼を受けて、雨漏りの状況を調査することになった。
前回のシリーズでは雨の浸入箇所の調査に時間をかけたが、今回は外観を見ただけですぐに見当がついた。B邸では・・・・
この記事は新建ハウジング2月28日号 4面(2023年2月28日発行)に掲載しています。
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