日本火災報知機工業会(東京都台東区)は2月27日、住宅用火災警報器に関する実態調査の結果を発表した。その結果、約7割が点検方法を知らず、設置から10年以上たっていても約8割が「そのうち交換する」「交換しようとは思わない」と、危機意識の希薄さが明らかになった。
2006年に新築住宅を対象に住宅用火災警報器(住警器)の設置の義務化がスタートしたことから、日本火災報知機工業会では、10年以上経過した住警器の交換を推奨する啓発活動を行なっており、昨年7月から8月にかけて郵送による書面調査を実施。対象は2006年4月〜2011年3月の5年間に建てられた新築戸建住宅在住者で住警器設置個数が3個以上の計536人(住警器3271台)とした。
まず、住警器の点検は、警報器の表⾯面にあるボタンを押すか、紐を引くことで正常に作動するか確認できるが、この点検方法を「知っている」との回答が全体の35.4%で、64%が「知らない」と回答。また「知っている」との回答者に点検頻度を尋ねたところ、「設置後に数回程度」が49.5%、「年に1回以上」 が18.9%で、「点検したことがない」が17.4%を占める結果となり、点検を先延ばしや後回しにしている傾向がわかる。
「住宅⽤火災警報器は設置後10年を目安に交換することを消防庁が推奨している」ことに関する認知度については、「知らなかった」が全体の70.1%。推奨されている交換時期について質問をした後に、交換する意向を尋ねたところ「早めに交換する」が20.5%の回答。 「そのうち交換する」「交換しようとは思わない」と答えた人が79.5%でその理由として「まだ正常に作動していると思うから」が75.4%との結果となった。
住警器を新しく交換するタイミングについては「故障や電池切れになれば交換する」との回答が1位で67.9%。「交換しない」理由については「交換にコストがかかるから」が86.2%で最も高く、次に「交換を行う必要性を感じていない」が55.2%で半数以上を占めた。 早めに交換しない理由で「まだ正常に作動していると思うから」が75.4%との結果からも、正常に動作していると想定し、緊急性を感じていないことが推測できる。
今回の調査結果から、日本火災報知機工業会は住警器の正しい役割、特性について再度わかりやすく解説し、点検方法や電池切れ、故障などの火災以外の警報について積極的に周知を図る必要があると考え、「点検の重要性」「設置から10年以上経過したら本体を交換」について認知してもらえるような積極的な啓発活動を行なっていくという。
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