帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、1月の人手不足に対する企業の動向調査の結果を発表した。1月時点で正社員が「不足」と感じている企業は、前年同月比3.9ポイント増の51.7%で、5カ月連続の5割超えとなった。1月としては2019年(53.0%)に次ぐ2番目の高さで、上昇傾向が顕著となっている。
業種別では、「建設」が前年同月比3ポイント増の65.6%となるなど、上位10業種中9業種で60%を超えている。トップはインバウンド需要の高まりから景況感が回復傾向にある「旅館・ホテル」の77.8%で、人手不足が際立っている。IT人材不足が深刻な「情報サービス」も73.1%と高く、案件過多など好況を理由にする声が多くみられた。
物価上昇が続くなか、人材の獲得・定着につながる「賃上げ」が注目されている。賃上げを行う意向ある企業のうち、約7割が「労働力の定着・確保」を理由にあげており、2023年度の見込みでも人手不足企業(63.1%)の方が全体(56.5%)よりも賃上げを実施する傾向が強い。5人以下を除く中小企業で特に賃上げ意識が高く、「赤字でも賃上げを実施しないと人材が流出してしまう」「人材確保のためには仕方ない」といった声があがっている。
人手不足は当面続くと予想され、人手不足を理由にした倒産も2019年以来3年ぶりに増加している。2023年の「賃上げの波」についていけず、経営に行き詰まるリスクが高まっているとして、同社は賃上げと人手不足の解消が景気を左右する最重要事項になると予想している。
調査対象は全国2万7362社、有効回答企業数は1万1719社。
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