設計担当と社員大工の協業による独自の家づくりに取り組む石牧建築(静岡県浜松市)。前半は設計業務の合理化を図りつつ大工の能力を最大限引き出す手法について、後半はその手法を生かした事例について設計担当の西久保美和氏と佐原広祐氏に聞いた。
ポイント1.会社の概要と設計施工の仕組み
◉同社の社員は9人。社長の石牧真志氏を含む6人が大工。西久保美和氏と佐原広祐氏、浅野太智氏の3人が設計と施工管理、営業を分担して担当。大工も施工管理を補佐する
➡設計部門は「しましま設計室」という名称で設計事務所としても活動。ほかの工務店の設計も行っている
◉営業は佐原氏と西久保氏が分担。佐原氏が見込み客全般の応対をして確度の高い見込み客を西久保氏につなぐ。西久保氏がヒアリングとプラン提案を行う。ウェブ発信は浅野氏が中心
➡このほか佐原氏は補修やメンテナンスのアフター対応、小工事の設計や施工管理も担当している
ポイント2.設計図書は分担してまとめる
◉最初のプランは西久保氏が担当。平面図と立面図、1/100の模型を作成。必要に応じて断面図も描く。模型は少し前まで佐原氏、現在は同氏のチェックのもと浅野氏が製作
◉多くは1〜2回の修正でプラン承認となる。その後、佐原氏が基本設計をまとめて見積書を作成。標準仕様がある程度決まっているため過去の事例をもとに高精度の見積りができる
◉実施図面は西久保氏を中心に佐原氏、浅野氏で仕上げる。将来的には西久保氏は平面図と立面図、矩計図と全体の監修に専念。実施設計は浅野氏と今後新たに加わる設計スタッフが担当する予定
ポイント3.伏せ図をもとに構造計算を行う
◉実施図面の特徴は伏せ図の作成だ(P55参照)。同社は全棟手刻みであらわしも多いことためプランと架構を同時に考える。伏せ図作成時に石牧氏に大工としての意見を聞くこともある
◉伏せ図は外部の構造設計者に渡して許容力度計算で耐震性を確認。耐震等級3が標準。社内で構造計算を行うことも検討したが、二重チェックとなる利点を重視して外部に委託
◉構造計算実施後に大きな変更はないが、一部・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー1・2月号(2023年1月30日発行)/設計施工を究める超家づくり術<高意匠×高性能編>』(P.51~)でご覧ください。
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