2023年、木材需要は世界的に低迷する―。
最大の木材製品市場である米国は金利高を原因とした景気後退局面に入っており、住宅需要の落ち込みから米加の製材各社は工場一時閉鎖等の減産措置を強化している。中国は不動産バブル崩壊が懸念され、今後この問題がどの程度拡大していくのか注目されるが、世界の木材輸入国として影響力を強めているだけに中国の木材輸入動向は世界の木材産地にとり大きな不安定要素だ。
日本も新設住宅需要に全く上向きの材料がなく、木材需要は伸び悩む。国産材比率が上昇しており、特に外材輸入は苦戦を強いられる。世界的な景気低迷で一般木材価格は総じて弱含みで推移する。
木造戸建て持家はさらに苦戦が続く
2022年の新設住宅着工戸数は85万9529戸、前年比0.4%増とほぼ横ばいで推移した。ただ、木造戸建て持家を主力とするビルダー・工務店には厳しい内容となっている。2022年の持家着工戸数は25万3287戸にとどまり前年比11.3%減となった。貸家が同7.4%増、分譲住宅が同4.7%増となっており貸家とマンション需要で持ち合っているという構図だ。
2023年の新設住宅着工は楽観的な予想で85万戸前後だが、木造軸組プレカット各社は厳しい見通しがもっぱらだ。新設木造住宅需要を支えてきた戸建て分譲住宅に陰りが出てくるとの懸念がその背景にある。木造持家新設注文住宅については反転する要素はない。
2022年の首都圏住宅平均価格(東京カンティ集計)は、新築一戸建て住宅4523万円(前年比10.1%増)、中古一戸建て住宅3919万円(同10.2%増)、新築マンション6341万円(同6.5%増、㎡単価は同1.7%減)、中古マンション4087万円(同10.0%増、㎡単価は同11.7%増)。中部圏、近畿圏と比較して突出した高値となっている。
首都圏市場は最大の新設住宅市場であるが、住宅価格高騰が止まらない現状で新設住宅を取得できる需要層は限られたものになる。所得の伸びが期待できないなかではなおさらだ。2023年の住宅ローン金利動向は不透明であるが先高観測は根強く、仮に住宅ローン金利上昇が重なった場合、米国市場ほどではないにせよ需要減をもたらす要因になる。
米国市場ではインフレ抑制に向けた連邦準備制度理事会(FRB)政策金利の急上昇に連動して住宅ローン金利も急騰し住宅取得意欲を一気に鈍らせている。
住宅ローン金利は2021年1月の30年物固定金利2.74%が2022年11月には7.08%まで跳ね上がり、好調を持続してきた米国住宅需要は2023年、前年比で2桁の減少率になると予測されている。住宅取得において自己資金比率の大きい日本はそこまで落ち込まないであろうが、事実上のゼロ金利政策を背景とした超低率の住宅ローン金利が新設住宅需要を支えてきたことは確かであり、金利動向は注目する必要がある。
Pages: 1 2
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。