社員8人中6人が大工で、構造や造作・家具はもちろん建具まで自社で制作している木又工務店。大阪府枚方市に建つ民家調の「K邸」は、現代的な断熱・耐震性能を備えつつ、内部は高い大工技能によってあらわされた構造や造作、家具・建具の美しさが特徴だ。
POINT.現代の大工に求められる家づくり
◉以前は高断熱への関心は低かったが、2018年、設計事務所との協働で高断熱・高気密住宅を手掛けた際、高齢の顧客から好評を得たことで考えを転換。現在は自社設計でもHEAT20・G2レベルを標準に
◉将来的な環境負荷を減らすため、自然系断熱材の使用に挑戦している。K邸では羊毛断熱材・ウールブレスを選択(外壁100㎜厚、屋根200㎜厚+付加断熱材シュタイコプロテクト60㎜厚)。現在は木質系のシュタイコも使用している
➡資材価格が上昇する中、自然系断熱材で性能を追求すると単価が上昇するのが悩み。現在はG2・自然素材で坪110~115万円
◉構造は耐震等級3で、2020年からは許容応力度計算を実施。それ以前はN値計算と壁量計算のみで設計していた
➡顧客が大工工務店に求めるのは「頑丈な家」。N値計算、壁量計算でも一定の耐震性は確保できていたが、根拠を持たせるため構造計算を標準化
POINT.良質な木材ストックを生かす
◉設計の質を素材でさらに高めるため、素材、特に木材の選定には配慮している。木材は自社で一定の樹種・量をストック
➡設計事務所との協働でも木又さんの提案が反映されることが増えている
◉同じ材種でも高値がつけられているものは加工しやすい。質の高い材を歩留まりよく使うことで・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー1・2月号(2023年1月30日発行)/設計施工を究める超家づくり術<高意匠×高性能編>』(P.30~)でご覧ください。
【関連記事】
・「高意匠×高性能」の王道 無垢材と大工を生かした設計施工
・【解説】プライバシーと開放性を両立する中庭ウッドデッキ
・【伝統継承】「大工工務店」とものづくりに必要なこと
・地震で失われた地元のシンボルを棟梁が再建「感動もらった」
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。