集客や受注が伸び悩み、不安を感じる工務店が増えている。物価上昇により工務店の平均価格帯が上がり、いい家を、手の届く価格で多くの人々に届けたい――そんな工務店の誠実さが通用しなくなりつつある。
新建ハウジングが昨年末に実施したアンケートでも、集客・受注減や「予算が合わない顧客」の増加を感じる工務店が多数を占めた。一方で、高単価であっても高所得層の顧客を捉え、堅実に受注を獲得している工務店も見られる。
受注獲得の鍵はどこにあるのか。工務店の実践から、優良な顧客を集めるノウハウを探る。
今回北陸地方のある工務店に受注の悩みを聞いた。まず顧客の予算と価格が折り合わないことが増えた。顧客の予算は3000万円前後で、見積もりが3500万~4000万円程度だと、契約に至らないケースも増える。
また、社長のAさんが抱えるもうひとつの悩みは「契約(請負契約)まで時間がかかること」。同社では、設計に着手した段階で設計契約を締結するが、顧客から出るのは、例えば収納のサイズなど、本来は契約後、実施設計で決めるような細部への要望ばかり。外構を含めた提案も、訴求しているのに話題に上ることは少ないという。
中には、5~6回もプランを描き直すケースもあるそうだ。同社の社長は「もし(請負)契約に至らなかったら、と思うと、ついお客様に寄り添い気味になってしまう」と話す。
今回、ヒアリングを行った工務店では、以前から多かった公務員に加え、医師・看護師や経営者の顧客が増えている。彼らはおしなべてこだわりや要望が強いが、それ自体は、従来の“工務店がつくるいい家”でも十分に応えられると言えそうだ。
しかし、いい家だけでは高収入層は呼び込めない。リブランディングや、ペルソナに響く情報発信ができなければ、Aさんのような予算上のミスマッチも起こりやすい。家づくりにしても、・・・・・
続きは、最新号・新建ハウジング2023年2月20日号1〜3面でお読みいただけます。
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