東京商工リサーチ(東京都千代田区)は2月14日、電気料金の値上げに関するアンケート調査の結果を発表した。有効回答は4434社。直近1カ月の電気料金が、前年同月より「値上がりした」企業は94.6%にのぼった。一方、「値上がりしていない」企業は5.3%だった。いずれも企業の規模による差はなく、ほぼすべての企業が値上げの影響を受けている。
電気料金の値上がり率は、前年同月比で「10~20%未満」が23.9%で最多だった。10~40%未満までで56.4%と半数以上を占めており、10%未満は15.5%にとどまった。また、100%以上は6.2%で、契約条件や使用量で急上昇した企業も少なくない。
電気料金の増加分について、「まったく価格転嫁できていない」企業は90.9%に達し、急激な電気料金の上昇に対応できていないことがわかった。「全額転嫁」はわずか0.8%だった。企業規模による差はほとんどなく、大企業であっても価格転嫁が難しい実態が明らかになった。
産業別では、情報通信業(97.5%)が価格転嫁できていない比率が最も高かった。建設業は95.5%、不動産業は91.1%が価格転嫁できておらず、最も低い製造業でも82.6%という結果になった。
今年1月から8月までの使用分のうち、企業などの高圧契約が3.5円/kWh、一般家庭などの低圧契約は7.0円/kWhの電気料金を値引きする負担軽減策が始まっているが、東京電力HDの電力小売子会社など多くの電力会社・新電力で値上げを実施または予定している。企業では、省エネ製品導入・節電などで対策しているが、業種ごとに電気利用量が違うため値上げの影響度も異なる。同社は、価格転嫁の進捗状況によって、企業収益に深刻な影響を及ぼす可能性が強まっていると分析している。
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