パナソニック 空質空調社(東京都港区)は2月9日、環境テクノロジー革新とオペレーション改革、継続顧客接点強化の3つの戦略で設備事業の拡大を図ると発表した。
2022年6月に発売したマンション向け全館空調「withair CUBE(ウィズエアーキューブ)」は、エアコンなどの空調機器を1カ所に集約。高効率で低負荷運転を維持するルームエアコンと温度交換率約80%の熱交換気ユニットを組み合わせることで、高い省エネ性能を実現した。HEPAフィルターと空気の循環によって、1年を通して快適で空気清浄度の高い住戸内空間を提供する。環境テクノロジー革新で、複数機能を組み合わせたソリューション技術を進化させていく。
また、天井埋込形換気扇の製造拠点であるメキシコ工場にて、1月から熱交換気ユニットの生産を開始。商品供給リードタイムの短縮を図るとともに、研究開発体制を強化し、現地ニーズに合った製品を迅速に開発できる体制を構築する。東南アジアでは、マレーシアに約20億円を投資してR&Dセンターの新棟を建設。業務用空調機器やソリューション開発を加速させる。北米と東南アジアで、地域軸経営を推進していく。
4月からは、製品の提案から施工、アフターメンテナンスまで一気通貫に対応できる体制を構築。住宅向け、非住宅向けの各製品軸で企画部門とマーケティング部門を新設し、日本・北米・アジアなど地域別の部門にて製販一体の事業を展開する。また、共創拠点として東京・日本橋に22年6月に設立した「AIR HUB TOKYO」には、温度・湿度に新たに香りや照明、音響を組み合わせた「Air Creation Room」を設置。同じく、実空間で空気質を検証する施設として22年4月に愛知県春日井に設立した「IAQ検証センター」には、さまざまな温・湿度条件で、住宅や店舗などの間取りを設定できる「空質空調検証室」を設置。商品開発や各種検証に役立てるようにするなど、各施設を進化させることで顧客接点強化を図るとした。
住宅や建物の消費エネルギー量を正味ゼロにするZEB・ZEH化が進むなか、熱ロスを抑制した換気を行う熱交換気ユニットの市場が拡大。同社は同製品と空調を組み合わせることで、さらなる省エネを実現している。また、新しい生活様式が国内外で定着し、空気質に対する多様なニーズに応えるソリューションを提案、施工、メンテナンスする設備事業の需要が高まっている。同社は、同事業を日本、北米、中国、東南アジアで展開。日本では戸建て向けに全館空調熱交換気システムを2019年に発売。非住宅向けには空調、換気、除菌機能などを一体化した「業務用空質空調連携システム」を2022年から販売している。海外では、中国で展開しているエアコンと除加湿機を連携させた「創新システム」に、2022年から除菌・脱臭機能を追加。東南アジアでは2021年からルームエアコンと給気ファンを連携させた住宅用空調システムを展開している。
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