全米住宅建設業協会(NAHB)が、2022年を通して高水準で推移した集合住宅の着工件数が2023年には減少するとの予測を明らかにした。一方、リフォーム部門は引き続き堅調を維持し、2023年には一戸建て住宅や集合住宅の市場より好調になるという。
米国における集合住宅の建設は2022年にブームとなり、前年比で推定15%増加し、年間50万件超のペースまで急増した。これはグレート・リセッション以来の高水準だ。しかし、NAHBはこの水準を維持可能なものとは見ておらず、2023年の集合住宅の着工件数は28%減の39.1万件となり、2024年には37.4万件ほどで安定すると予測している。
NAHBの予測・分析担当部長補佐であるダヌシュカ・ナナヤカラ・スキリントン氏は、「賃料の伸びの鈍化や失業率の上昇」などによる、集合住宅のバックログ(未処理案件)の増加を指摘した。現在建設中のアパートは94.3万件で、1年前の75.5万件に比べて24.9%も増加している。これは1974年以来、最多となる件数だ。
全米集合住宅協議会(NMHC)が四半期ごとに発表している「アパートメント状況調査」では、2022年第4四半期の「市場逼迫指数(Market Tightness Index)」と「販売量指数(Sales Volume Index)」がそれぞれ14ポイントと10ポイントであったことが明らかになっている。市場逼迫指数が50を下回っている場合、集合住宅の空室率が高く、賃料の上昇率が低いということになる。また、販売量指数が50を下回っている場合、販売量が減少傾向にあるということになる。両指数は0から100で表されるため、14及び10ポイントという数値は、米集合住宅市場が軟調傾向にあることを意味する。
集合住宅市場の減退を予測する一方で、リモートワーク、リモート授業、トレーニングなど、より多くの用途で住宅が使用されることが予想されるため、住宅リフォーム市場は堅調に推移するというのがNAHBの見立てだ。2021年に13%成長した米リフォーム市場は、2022年には名目ベースで7%成長したと推定されている。住宅需要の弱まりの影響を受けて伸びは鈍化するとの予測だが、それでも2023年に5%、2024年に4%、堅調に成長する見込みだ。
2022年第4四半期の「NAHBリフォーム市場指数(NAHB/Westlake Royal Remodeling Market Index)」は66ポイントで、11四半期連続の50ポイント越えとなった。NAHBリフォーム市場指数は米リフォーム業者の景況感を0から100の数値で表したものであり、約3年間にわたってリフォーム業者の景況感が好調を維持していることが示されている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。