1人の担当者が設計と施工管理をこなすほか大工としても現場に関わる。「自前率」が高い独特の手法で細部まで練り込まれた建物を手掛ける鹿児島の37design(鹿児島県日置市)。前半は設計施工の仕組みと要点について、後半はその仕組みに基づく事例について代表の味園将矢氏に聞いた。
ポイント1.会社の体制と設計施工の仕組み
◉社員は代表の味園将矢氏と同氏の妻の味園千草氏、桑原建大氏の3名。設計施工で請け負って大工も担うのが基本。最近は設計のみの仕事も増えているが、本稿では「設計+施工+大工」のかたちを紹介
◉設計と施工管理、大工はいずれも味園将矢氏と桑原氏が担当。桑原氏は入所3年目の若手なので補佐的なかたち。味園千草氏は住宅ローンや不動産などソフト的な仕事を主に担当
➡最近の新築の現場は外注大工に手間請けで依頼することが多い
ポイント2.トータルで関わる利点と弱点
◉「設計施工+大工」方式の利点の1つは担当者がすべてを把握できることと、監督として現場を仕切るほか、要所は自分で施工をするので意図通りの仕上がりが確実に得られる
◉もう1つの利点が建て主から信頼されやすいこと。建て主側から見ると、プレゼン時の担当者がそのまま現場を仕切ることになる。着工から引き渡しの期間も意思疎通がしやすい
◉弱点は手掛けられる棟数に限りがあること。住宅設計は数をこなすほど上手くなる。棟数が少ないと経験を深める速度が遅くなる。また、建て主を待たせることにもなる
ポイント3.設計作業の分担方法
◉少し前まで味園将矢氏(以下、味園氏)が建て主との打合せ、プラン提案、基本・実施設計を独力で担当。現在は上記の各段階を桑原氏がサポート。特に実施設計は桑原氏の助力が大きい
◉桑原氏の設計能力向上のために見込み客との打ち合わせに桑原を同席させる。また味園氏が桑原氏の進捗状況をチェック。適宜アドバイスする。仕事の状況によっては引き継げるようにする
➡このほか桑原氏に大工仕事を覚えさせることを重視。監督として関わる現場では大工としても作業している
ポイント4.過不足ない図面のまとめ方
◉同社のやり方だと図面は最小限で済む。施工上は各スペースや各部位の勘所となる寸法などが分かりやすく指示してあれば十分。矩計図などは・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー1・2月号(2023年1月30日発行)/設計施工を究める超家づくり術<高意匠×高性能編>』(P.34~40)でご覧ください。
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