国土交通省は1月31日、住宅宅地分科会の「空き家対策小委員会」を開き、空き家対策の新たな方向性を示した「とりまとめ(案)」の最終審議を行った。空き家期間の短縮と早期段階での活用に向け、「発生抑制」「活用促進」「適切な管理・除却の促進」「民間主体の活動促進」を柱とした対策を実施する。このうち「民間主体の活動促進」では、所有者と空き家活用希望者とのマッチングを円滑に行うため、市町村が保有する空き家の所有者情報を地域団体やNPO法人、不動産・建築事業者などに対して提供する案が盛り込まれた。
自治体に向けた「全国版空き家・空き地バンク」参加への呼び掛けや、所有者や相続者に向けた空き家の活用方法などの情報提供にも取り組む。併せて2015年に施行された「空き家対策特別措置法」の一部改正を行うことで、管理不十分な空き家を円滑に除却するための体制を整える。同案は担当委員、分科会などの承認を得て、近々公表する予定。
「特定空家」になる前に活用を
2018年時点での空き家の総数は849万戸、このうち賃貸用または売却用の住宅を除いた居住目的のない空き家は349万戸を占め、いずれも増加傾向にある。倒壊の可能性のある建物や保安・衛生上有害となる空き家については、空き家対策特別措置法上で「特定空家」としての指定が可能で、これまでに約14万戸が自治体などの代執行により解体・修繕された。その一方で、自治体が把握している空き家のうち、「特定空家」の約2万戸、「管理不全の空き家」の約24万戸はマンパワー不足、ノウハウ不足などにより現存。約9%にあたる4.7万戸は所有者が不明となっている。
地域によっては、災害に強く資産価値の高い中心市街地や観光地、地域の拠点となるエリアに空き家が集中する傾向もあるという。こうした空き家が物件としての価値を失う「特定空家」になる前の段階に活用を促すことが新たな対策の狙い。活用困難な空き家については予算の充当や税制の改善などにより、所有者が主体的に除却しやすくする。管理不全が改善されない場合は固定資産税の住宅用地特例の解除などにより所有者の決断を促す。このように有効活用や適切な管理を実施することで地域経済の活性化につなげる。
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