4年前に地元を襲った熊本地震による住宅被害の惨状を目の当たりにしたHOMECRAFT(ホーム・クラフト、熊本市)社長の津隈大介さんは、「地震に負けない強靭な基本性能を備える家を建てていく」と決意を固めた。
いまだに、自ら設計した家でじかに体感した最大震度7の揺れは忘れられない。
災害に強い家を地域の人たちに提供しながら、一方では、その技術を生かして地域の風土や歴史を刻む伝統的な「古民家」に新たな息吹を吹き込み、次世代へと引き継いでいく考えだ。
※この記事は、2020年8月30日発行の新建ハウジング別冊「がんばる地場工務店特集」をデジタル配信用に再編集したもので、掲載内容は取材時のものです。
本当に重要な住宅性能とは何か
同社は津隈さんと父で会長の正巳さんのほか、津隈さんの妻と叔父、大工2人の社員4人の小さな工務店だ。宮崎県五ケ瀬町で生まれ育った正巳さんが、刻み大工として東京の工務店で経験を積み、都市化が進む熊本市で1975年に「津隈建築」として創業。ハウスメーカーの下請けなどを手掛けてきた。父親のもとで大工として修業した津隈さんは、一級建築士の資格を取得、熊本地震の後は耐震診断などの資格も取り、耐震構法のSE構法を家づくりの中核に据えた。
津隈さんは、被災した住宅の修理を通して「本当に重要な住宅性能とは何か」を考えた。「それまではお客様の望む快適な住宅づくりさえ実現できればそれで良いと考えてきたが、熊本地震を契機に、お客様の認識を変えてでも自分がこだわる家づくりを打ち出す」ことに転換した。「長年、住んで結果的に良かったと思ってもらえる家づくりをこだわって進めたい」と津隈さん。「こうした考えが自分の個性を際立たせ、ほかの工務店との差別化につながる」との考えもある。
“家族の記憶”を守り継ぐ
熊本地震では、一般住宅だけでなく、地域に残っていた数多くの伝統的な民家も全半壊し、その後、公費により解体された。そうした状況を見た津隈さんは「熊本の伝統や地域性が表れている現存する古民家を残していく活動を支援したい」という思いを強めた。全国古民家再生協会の熊本エリアの代表の一人として活動する村田智仁さん(銀杏開発)との出会いが、そうした思いを持つきっかけになった・・・・・
続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/がんばる地場工務店 P.44~』(2020年8月30日発行)に掲載しています。
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