米住宅ローン金利が足元で低下していることや、建設業者の景況感が改善傾向にあることもあり、12月の米新築住宅販売はわずかに増加した。しかし、依然高い住宅ローン金利と建設費は住宅のアフォーダビリティ(適正費用負担)を引き続き悪化させ、需要に水を差している。
米国商務省国勢調査局と米住宅都市開発省がこのほど共同で発表したデータによると、2022年12月の新築一戸建て住宅販売件数は61.6万件(季節調整済み)で、11月の60.2万件(下方修正値)から2.3%増加した。2021年12月の83.9万件からは26.2%減少した。2022年の総新築住宅販売は64.4万件で、2021年の77.1万件を16.4%下回った。
地域別の新築住宅販売件数(年初来)を見ると、北東部がマイナス8.2%、中西部がマイナス22.1%、南部がマイナス13.0%、西部がマイナス23.5%で、全地域で減少した。
新築一戸建て住宅の在庫は46.1万件で、6か月分に近い水準が良いバランスであると見なされる中、9.0か月分と高水準で推移した。前年同月比では18.5%増加した。このうち、竣工済みで入居可能な住宅在庫は全体の15.4%で、残りは建設中か未着工となっている。2021年12月の竣工済み住宅在庫はわずか3.3万件だったが、2022年12月は115%増加して7.1万件となっており、需要の低迷が表れている。
住宅販売価格の中央値は44万2100米ドル(約5687万円)で、11月より3.7%下落したが、前年同月比では7.8%増加した。建設費高騰の影響が続いているとみられる。住宅価格の平均値は52万8400米ドル(約6797万円)だった。
全米住宅建設業協会の予測・分析担当部長補佐であるダヌシュカ・ナナヤカラ・スキリントン氏は今回発表されたデータについて、「住宅価格の中央値は2か月連続で低下しているものの、昨年と比較すると7.8%上昇しており、住宅のアフォーダビリティの低下をより示す証となっている」と分析。「在庫の増加は、軟調な市場のもうひとつの懸念材料だ」と述べ、米住宅市場低迷の長期化を予測した。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。